インベカヲリ★

インベカヲリ★

インベカヲリ★（1980年生まれ）は、東京都出身の写真家であり、文筆家としても活躍しています。別名義に忌部カヲリがあります。

短大卒業後、編集プロダクションでの勤務を経験しましたが、約8ヶ月という短期間で退職。その後、写真撮影を独学で開始しました。2000年頃からは、市井に生きる女性たちの人生に深く耳を傾け、聞き取りを行いながら、その内面を写し出すポートレートを撮り続けています。様々な職を経て、2006年よりフリーランスとしての活動を本格化しました。

写真家としては、その独自の視点と手法が高く評価されています。2005年には日本広告写真協会（APA）公募展やエプソン・カラーイメージングコンテストに入選・受賞。2008年にはニコンサロン三木淳賞の受賞奨励賞を獲得しています。さらに、2013年には初の写真集『やっぱ月帰るわ、私。』で第39回木村伊兵衛写真賞の候補にノミネートされました。その後も、2018年に第43回伊奈信男賞、2019年には日本写真協会新人賞を受賞するなど、現代写真における重要な存在として認められています。

国内外での展示活動も精力的に行っており、新宿ニコンサロンでの個展「倫理社会」（2007年）をはじめ、大阪やロサンゼルス、韓国ソウル、香港など、世界各地で作品を発表しています。ミラノでの個展「Suburbia, Kigurumi, Hikikomori」（2012年～2013年）など、海外での注目度も高いです。

一方、文筆家としても社会に対する鋭い洞察を発信しています。『新潮45』などへの寄稿を通じて、独自の視点から現代社会の諸問題に切り込んでいます。特に、2018年に発生した東海道新幹線車内殺傷事件を巡るルポルタージュ『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』は大きな反響を呼び、2022年には第53回大宅壮一ノンフィクション賞の候補に選出され、文筆家としての評価も確立しました。

主な写真集には『やっぱ月帰るわ、私。』（2013年）、『理想の猫じゃない』（2018年）があり、いずれも赤々舎より刊行されています。また、単行本としては、ルポルタージュ『家族不適応殺』や『「死刑になりたくて、他人を殺しました」 無差別殺傷犯の論理』、写真と文章による共著『私の顔は誰も知らない』などを発表しています。その他にも、複数の単行本に共著者または写真担当として携わっています。

テレビ番組への出演経験もあり（フジテレビ「NONFIX」、2014年）、その多角的な活動は、写真や文章を通じて現代社会に問いかけ続けるインベカヲリ★氏の姿勢を示しています。

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