インペラートル・ニコライ1世 (戦艦・初代)

インペラートル・ニコライ1世の概要

インペラートル・ニコライ1世は、ロシア海軍の歴史において特異な存在位置を持つ戦艦であり、ロシア帝国で建造された艦の一つです。その名称はクリミア戦争の皇帝に由来し、外洋航海に適した初期の装甲艦の一つとされています。この艦は、日露戦争における日本海海戦で大日本帝国海軍に鹵獲され、「戦艦壱岐」として知られることになります。

建造の背景

この艦の建造は1884年に始まり、当初は先代艦インペラートル・アレクサンドル2世の小型版として設計が進められました。しかし、設計には多くの困難が伴い、最終的には先代艦とほとんど同じ形状に仕上がりました。計画段階での動力機関には、過去の艦からの流用が検討されましたが、新造となり、武装や設備に関しても多くの変更が加えられました。

建造中には、様々な設計変更が行われ、最終的には当初の計画とは異なるデザインで完成しました。特に、艦首に２基の主砲を持つ設計から、変更が続き、艦の美観や性能に影響を及ぼしました。艦の防御装甲は複合装甲が採用されましたが、装甲の質や工程の遅れが問題視されました。

艦容と武装

インペラートル・ニコライ1世の外観は独特で、艦首に主砲が配置され、衝角も改善されていました。内部は豪華な提督室を有し、平時の外交目的の航海には大きな役割を果たしました。武装に関しては、主に1877年式305mmカノン砲と229mm単装砲が搭載されており、時代遅れであるにもかかわらず、多数の武装が施されました。

活動と近代化

艦は1889年に進水し、その後多くの国際的な任務に参加しました。特に、1893年には米国ニューヨークを訪れ、露米国交400周年式典に参加するなどの行動を取りました。さらに、国際的な平和活動にも参加し、その後には近代化改修を受け、性能向上を図られました。

日露戦争とその後

日露戦争の開戦に伴い、艦は太平洋に派遣され、日本海海戦において重要な役割を果たしましたが、結果的には艦隊において最小限の貢献にとどまりました。損傷は軽微で済んだものの、降伏を余儀なくされ、後に日本海軍に編入されました。

当艦は再編成を経て日本海軍に加わり、様々な任務をこなしつつ、最終的には1915年に撃沈される運命を辿ります。インペラートル・ニコライ1世は、その設計や活動において多くの矛盾点を抱えつつも、ロシア海軍の歴史において特別な意義を持つ艦船であったのです。

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