インペリテリ

インペリテリ (Impellitteri)

インペリテリは、1987年にギタリストのクリス・インペリテリによって結成されたアメリカのヘヴィメタルバンドです。クリスの驚異的なギターテクニックと、歴代ボーカリストの個性的な歌声が融合した、ネオクラシカルメタルを基調とする音楽性が特徴です。

バンドの歴史

1987年、クリス・インペリテリはロブ・ロックと共にバンドを結成し、EP『インペリテリ』でデビュー。翌1988年には、元アルカトラスのグラハム・ボネットを迎え、『スタンド・イン・ライン』を発表し、一躍その名を轟かせました。その後、ロブ・ロックをボーカルに迎え、精力的に活動を続けましたが、2002年には再びグラハム・ボネットを迎え、『システムX』をリリースし、話題を呼びました。

2003年以降は、アメリカ国内での音楽性の変化などを理由にロブ・ロックと袂を分かち、若手ボーカリストのカーティス・スケルトンを起用し、よりヘヴィな音楽性を追求しました。しかし、2008年にはカーティス・スケルトンが脱退し、ロブ・ロックが再びバンドに復帰するという、ファンにとっては嬉しいサプライズとなりました。

音楽性

インペリテリの音楽性は、クリス・インペリテリの圧倒的なギタープレイ、グラハム・ボネットやロブ・ロックらによるパワフルなハイトーンボーカル、そしてクイーンを彷彿とさせるコーラスハーモニーが特徴のネオクラシカルメタルです。クリスのギタープレイは、イングヴェイ・マルムスティーンと比較されることが多いですが、実際には奏法が異なり、エコノミーピッキングを避け、フルオルタネイトピッキングを多用しています。特に複雑な多弦アルペジオにおいて、肘の関節を大きく使い、オルタネイトピッキングにパワーを加えるスタイルは、他のギタリストにはあまり見られない独特なものです。

1992年のアルバム『グリン・アンド・ベアー・イット』では、あえて速弾きを抑え、ポップな楽曲やファンク・ロックの要素を取り入れ、アメリカン・ハードロック的な路線へと転向しました。しかし、この変化は従来のネオクラシカルメタルを求めるファンからの失望を招き、90年代は再びネオクラシカルメタルに回帰することとなりました。この時期、アメリカでの活動は苦戦を強いられ、ヨーロッパや日本が主なマーケットとなりました。

1993年のEP『ヴィクティム・オブ・ザ・システム』から、1994年の『アンサー・トゥ・ザ・マスター』、1996年の『スクリーミング・シンフォニー』、1997年の『アイ・オブ・ザ・ハリケーン』までは、純粋なネオクラシカルメタルを追求。2000年の『クランチ』では、部分的にヘヴィ・ロック的な方向性を模索しました。グラハム・ボネットが一時的に復帰した『システムX』(2002年)を挟み、メタルコアがブームとなった2004年には、ボーカルをカーティス・スケルトンに替え、メタルコア的な要素を取り入れた『ペダル・トゥ・ザ・メタル』を発表しました。2009年には、9年ぶりにロブ・ロックが復帰し、ネオクラシカルメタルとメタルコアを融合させた『ウィキッド・メイデン』をリリース。2011年には、アニメタルUSAに参加し、2014年まで活動しました。2015年には、ネオクラシカルの要素を強調した『ヴェノム』、2018年にはメタルコアの要素をほぼ排除し、ネオクラシカルメタルに完全復帰した『ザ・ネイチャー・オブ・ビースト』を発表しています。

メンバー

現ラインナップ

クリス・インペリテリ (Chris Impellitteri) – ギター (1987年–1990年、1992年– )、ベース (1987年)
ジェイムス・アメリオ・プーリ (James Amelio Pulli) – ベース (1992年– )
ロブ・ロック (Rob Rock) – リード・ボーカル (1987年–1988年、1992年–2000年、2008年– )
パトリック・ヨハンソン (Patrick Johansson) – ドラム (2018年- 、ツアー2016年)

旧メンバー

グラハム・ボネット (Graham Bonnet) – リード・ボーカル (1988年–1990年、2000年–2002年)
マーク・ウェイツ (Mark Weitz) – リード・ボーカル (1990年)
カーティス・スケルトン (Curtis Skelton) – リード・ボーカル (2003年–2008年)
テッド・デイズ (Ted Days) – ベース (1987年–1988年)
チャック・ライト (Chuck Wright) – ベース (1988年、1992年)
デイヴ・スピッツ (Dave Spitz) – ベース (1988年–1990年)
ロニー・シルヴァ (Loni Silva) – ドラム (1987年–1988年)
パット・トーピー (Pat Torpey) – ドラム (1988年) ※2018年死去
ステット・ハウランド (Stet Howland) – ドラム (1988年–1990年)
ケン・メアリー (Ken Mary) – ドラム (1992年、1994年–1999年)
マーク・ビスタニー (Mark Bistany) – ドラム (1992年–1994年)
フィル・ウォルフ (Phil Wolfe) – キーボード (1988年–1990年)
クロード・シュネル (Claude Schnell) – キーボード (1990年、1993年)
エド・ロス (Ed Roth) – キーボード (1995年–2007年)
グレン・ソーベル (Glen Sobel) – ドラム (1999年–2009年)
ブランドン・ワイルド (Brandon Wild) – ドラム (2009年–2012年)
ジョン・デッテ (Jon Dette) – ドラム (2012年–2018年)

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

『スタンド・イン・ライン』 - Stand in Line (1988年)
『グリン・アンド・ベアー・イット』 - Grin and Bear It (1992年)
『アンサー・トゥ・ザ・マスター』 - Answer to the Master (1994年)
『スクリーミング・シンフォニー』 - Screaming Symphony (1996年)
『アイ・オブ・ザ・ハリケーン』 - Eye of the Hurricane (1997年)
『クランチ』 - Crunch (2000年)
『システムX』 - System X (2002年)
『ペダル・トゥ・ザ・メタル』 - Pedal to the Metal (2004年)
『ウィキッド・メイデン』 - Wicked Maiden (2009年)
『ヴェノム』 - Venom (2015年) ※アートワークはJupiterのギタリスト・TERUが手がけた。
『ザ・ネイチャー・オブ・ザ・ビースト』 - The Nature of the Beast (2018年) ※アートワークは前作に引き続きTERUが手がけた。
『ウォー・マシン』 - War Machine (2024年)

ライブ・アルバム

Live! Fast! Loud! (1998年) ※公式ファンクラブより発売

EP

『インペリテリ』 - Impellitteri (1987年)
『ヴィクティム・オブ・ザ・システム』 - Victim of the System (1993年)
『フュエル・フォー・ザ・ファイア』 - Fuel for the Fire (1997年)

コンピレーション・アルバム

『ヴェリー・ベスト・オブ・インペリテリ〜光速伝説』 - The Very Best of Impellitteri: Faster Than the Speed of Light (2002年)
『ザ・コンプリート・ビースト 1987-2000』 - The Complete Beast 1987 - 2009 (2023年)

来日公演

単独公演

フェス

KIRIN DRY GIGS'88（1988年）
7月24日 東京 東京ドーム

関連項目

クリス・インペリテリ
アルカトラス：グラハム・ボネット率いるバンド。クリスがオーディションを受けたことがある。
イングヴェイ・マルムスティーン：クリスがよく比較される、元アルカトラスのギタリスト。

外部リンク

インペリテリ公式ウェブサイト
Impellitteri at AllMusic.com
* インペリテリ - Discogs

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