アルカトラス
アルカトラス（Alcatrazz）は、個性的なハイトーンボイスを持つボーカリスト、グラハム・ボネットを中心として1983年に結成されたヘヴィメタルバンドです。特にギターヒーローとして名を馳せるイングヴェイ・マルムスティーンや、テクニカルなプレイで知られるスティーヴ・ヴァイといった、時代の寵児ともいえるギタリストが短期間ながら在籍したことで、その名を音楽史に刻んでいます。
バンドはグラハムがマイケル・シェンカー・グループを離れた後、元ニュー・イングランドのゲイリー・シェア（ベース）とジミー・ウォルドー（キーボード）と共にスタートしました。ギタリストには、グラハムがかつて在籍したレインボーのリッチー・ブラックモアを彷彿とさせるプレイのできる人物を探すべくオーディションを実施。そこで白羽の矢が立ったのが、当時スティーラーで活動していた若きイングヴェイ・マルムスティーンでした。伝説によれば、イングヴェイはUFOからの誘いもあったものの、グラハムの歌唱力に魅力を感じてアルカトラスへの参加を決めたとされています。
ドラマー探しは難航しました。コージー・パウエルの推薦でクイーンのロジャー・テイラーや元アイアン・メイデンのクライヴ・バーとの接触もありましたが、実現には至らず、最終的に元アリス・クーパー・バンドのヤン・ウヴェナ（ドラムス）がメンバーに加わり、レコーディングを開始しました。
1983年12月、彼らはデビューアルバム『ノー・パロール・フロム・ロックン・ロール』をリリース。特に日本では、イングヴェイの鮮烈なギタープレイが大きな話題を呼びました。翌1984年1月には初の日本公演を行い、その東京公演の模様はライブアルバム『ライヴ・センテンス』として発表されました。イングヴェイの超絶技巧は多くのファンを驚かせましたが、その一方で彼のカリスマ性が他のメンバーからの嫉妬を招き、関係が悪化。ステージ上で衝突することも増え、結局イングヴェイはバンドを離れることになります。
後任には、同じく卓越したテクニックを持つスティーヴ・ヴァイが迎えられ、バンドは再編成されました。1984年10月にはスティーヴを擁して再び来日公演を成功させます。1985年には、スティーヴとの名盤として評価の高いセカンドアルバム『ディスタービング・ザ・ピース』を発表。しかし同年、スティーヴもヴァン・ヘイレンを脱退したデイヴィッド・リー・ロスからの誘いを受け、バンドを脱退しました。続くギタリストとしてダニー・ジョンソンが加入し、サードアルバム『デンジャラス・ゲームス』をリリースしますが、商業的には振るわず、1987年にバンドは活動を停止しました。
アルカトラスは2007年にグラハム・ボネットを中心に再始動を果たし、ハウイー・サイモン（ギター）らを加えたラインナップで来日公演なども行いました。この再結成においては、グラハム以外のオリジナルメンバーがバンド名の使用権について異議を唱える動きもありましたが、法的には認められませんでした。
時を経て2019年、グラハム・ボネット・バンドで活動を共にしていたジョー・スタンプ（ギター）を迎え、さらにオリジナルメンバーであるジミー・ウォルドーとゲイリー・シェアが復帰。2020年には34年ぶりとなるスタジオアルバム『ボーン・イノセント』を「アルカトラス」名義でリリースしました。このアルバムには、元ギタリストのスティーヴ・ヴァイを含む複数のゲストギタリストが参加しています。
しかし、2020年12月、創設者であるグラハム・ボネットが突如としてバンドからの脱退を発表。グラハムは自身の新たな「アルカトラス」を立ち上げる意向を示し、残されたメンバーは後任ボーカリストにドゥギー・ホワイトを迎え入れ、彼らもまた「アルカトラス」として活動を継続。これにより、現在では同じ「アルカトラス」という名前を冠する二つのバンドが並立して存在するという、非常に珍しい状況が生まれています。
代表的なスタジオアルバム
『ノー・パロール・フロム・ロックン・ロール』（1983年）
『ディスタービング・ザ・ピース』（1985年）
* 『ボーン・イノセント』（2020年）
逸話
イングヴェイ・マルムスティーン在籍時のライブでは、彼のソロパートが終わると、グラハムがかつてレインボー時代に歌った「Since You Been Gone」が演奏されるのがお決まりでした。しかし、イングヴェイはこの曲を「大嫌い」と公言しており、グラハムの「栄光の時代の曲だから嫌々弾いている」と語っています。あるライブでは、この曲の演奏中に激昂したグラハムがイングヴェイのアンプからケーブルを引き抜き、それに怒ったイングヴェイがギターを叩きつけてグラハムと口論になり、彼を投げ飛ばしてステージから去ったというエピソードも伝えられています。
複数の著名ギタリストが在籍した初期、一度の解散、そして再結成後の分裂という波乱に満ちたキャリアは、アルカトラスをヘヴィメタル史におけるユニークな存在としています。
バンドはグラハムがマイケル・シェンカー・グループを離れた後、元ニュー・イングランドのゲイリー・シェア（ベース）とジミー・ウォルドー（キーボード）と共にスタートしました。ギタリストには、グラハムがかつて在籍したレインボーのリッチー・ブラックモアを彷彿とさせるプレイのできる人物を探すべくオーディションを実施。そこで白羽の矢が立ったのが、当時スティーラーで活動していた若きイングヴェイ・マルムスティーンでした。伝説によれば、イングヴェイはUFOからの誘いもあったものの、グラハムの歌唱力に魅力を感じてアルカトラスへの参加を決めたとされています。
ドラマー探しは難航しました。コージー・パウエルの推薦でクイーンのロジャー・テイラーや元アイアン・メイデンのクライヴ・バーとの接触もありましたが、実現には至らず、最終的に元アリス・クーパー・バンドのヤン・ウヴェナ（ドラムス）がメンバーに加わり、レコーディングを開始しました。
1983年12月、彼らはデビューアルバム『ノー・パロール・フロム・ロックン・ロール』をリリース。特に日本では、イングヴェイの鮮烈なギタープレイが大きな話題を呼びました。翌1984年1月には初の日本公演を行い、その東京公演の模様はライブアルバム『ライヴ・センテンス』として発表されました。イングヴェイの超絶技巧は多くのファンを驚かせましたが、その一方で彼のカリスマ性が他のメンバーからの嫉妬を招き、関係が悪化。ステージ上で衝突することも増え、結局イングヴェイはバンドを離れることになります。
後任には、同じく卓越したテクニックを持つスティーヴ・ヴァイが迎えられ、バンドは再編成されました。1984年10月にはスティーヴを擁して再び来日公演を成功させます。1985年には、スティーヴとの名盤として評価の高いセカンドアルバム『ディスタービング・ザ・ピース』を発表。しかし同年、スティーヴもヴァン・ヘイレンを脱退したデイヴィッド・リー・ロスからの誘いを受け、バンドを脱退しました。続くギタリストとしてダニー・ジョンソンが加入し、サードアルバム『デンジャラス・ゲームス』をリリースしますが、商業的には振るわず、1987年にバンドは活動を停止しました。
アルカトラスは2007年にグラハム・ボネットを中心に再始動を果たし、ハウイー・サイモン（ギター）らを加えたラインナップで来日公演なども行いました。この再結成においては、グラハム以外のオリジナルメンバーがバンド名の使用権について異議を唱える動きもありましたが、法的には認められませんでした。
時を経て2019年、グラハム・ボネット・バンドで活動を共にしていたジョー・スタンプ（ギター）を迎え、さらにオリジナルメンバーであるジミー・ウォルドーとゲイリー・シェアが復帰。2020年には34年ぶりとなるスタジオアルバム『ボーン・イノセント』を「アルカトラス」名義でリリースしました。このアルバムには、元ギタリストのスティーヴ・ヴァイを含む複数のゲストギタリストが参加しています。
しかし、2020年12月、創設者であるグラハム・ボネットが突如としてバンドからの脱退を発表。グラハムは自身の新たな「アルカトラス」を立ち上げる意向を示し、残されたメンバーは後任ボーカリストにドゥギー・ホワイトを迎え入れ、彼らもまた「アルカトラス」として活動を継続。これにより、現在では同じ「アルカトラス」という名前を冠する二つのバンドが並立して存在するという、非常に珍しい状況が生まれています。
代表的なスタジオアルバム
『ノー・パロール・フロム・ロックン・ロール』（1983年）
『ディスタービング・ザ・ピース』（1985年）
* 『ボーン・イノセント』（2020年）
逸話
イングヴェイ・マルムスティーン在籍時のライブでは、彼のソロパートが終わると、グラハムがかつてレインボー時代に歌った「Since You Been Gone」が演奏されるのがお決まりでした。しかし、イングヴェイはこの曲を「大嫌い」と公言しており、グラハムの「栄光の時代の曲だから嫌々弾いている」と語っています。あるライブでは、この曲の演奏中に激昂したグラハムがイングヴェイのアンプからケーブルを引き抜き、それに怒ったイングヴェイがギターを叩きつけてグラハムと口論になり、彼を投げ飛ばしてステージから去ったというエピソードも伝えられています。
複数の著名ギタリストが在籍した初期、一度の解散、そして再結成後の分裂という波乱に満ちたキャリアは、アルカトラスをヘヴィメタル史におけるユニークな存在としています。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。