イン・フォー・ア・ペニー

スレイドの「イン・フォー・ア・ペニー」（In For A Penny）は、1975年11月に6枚目のオリジナル・アルバム『ノーボディーズ・フール』から先行シングルとしてリリースされました。この楽曲は全英シングルチャートで最高11位を獲得し、8週にわたってチャートインするヒットとなりました。

作詞作曲は、スレイドの主要メンバーであるノディ・ホルダーとジム・リーが手掛け、プロデューサーは、彼らの才能を初期から見抜いていたチャス・チャンドラーが担当しました。

背景

1975年当時、スレイドはT・レックスやデヴィッド・ボウイと並び、イギリスを代表する人気ミュージシャンの一組として認知されていました。マネージャーのチャス・チャンドラーは、更なる成功を求めてアメリカへの進出を提案。バンドは多忙なツアーの合間を縫って、アルバム『ノーボディーズ・フール』のレコーディングを行いました。

このアルバムは、アメリカの音楽シーンでの成功を意識し、当時アメリカで流行していたソウルやポップの要素を取り入れた楽曲が多数収録されています。

「イン・フォー・ア・ペニー」は、ニューヨークのレコード・プラント・スタジオでレコーディングされました。楽曲の終盤、ギターソロの直前にホルダーが「Ee, they got a band」と叫ぶ部分があります。これは、当時イギリスで放送されていたテレビCMへの言及とされています。CMの内容は、「女性がヴァイオリンのケースを運ぶギャングを、音楽グループのコンボと勘違いする」というユーモラスなものでした。

ギタリストのデイヴ・ヒルは、1986年のファンクラブのインタビューで、この曲について次のように語っています。「米国ツアーが終わってシングルをリリースしたとき、多くのファンを失望させてしまったのではないかと思いました。ファンはおそらく、もっとヘヴィな曲を期待していたでしょうから、この曲をつまらないと感じたかもしれません。」

リリース

「イン・フォー・ア・ペニー」は、イギリス、アイルランド、ドイツ、フランス、ベルギー、スウェーデン、オランダ、スペイン、ポルトガル、スカンディナヴィア、ユーゴスラビア、オーストラリア、日本など、世界各国で7インチシングル盤として発売されました。B面には「イマジン」が収録され、この曲は2007年に発売されたコンピレーション・アルバム『B-Sides』にも収録されています。

プロモーション

この楽曲のミュージック・ビデオは制作されていません。しかし、イギリスの音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』や『Supersonic』で演奏を披露しています。

特に『Supersonic』での演奏では、レコードではジム・リーが演奏したイントロのアコーディオンのフレーズを、ノディ・ホルダーが演奏するという珍しいパフォーマンスが見られました。

評価

リリース当時、『レコード・ミラー』誌は本作を「ビートルズのような素敵な曲」「メロディックなギターのブレイクとハーモニーは、これまでのスレイドの作品の中でも最高の出来」と絶賛しました。一方、『メロディ・メイカー』誌は「構成が弱い」と否定的な評価を下しています。

プロデューサーのチャス・チャンドラーがスタジオでミキシング作業を行っていた際、たまたまスタジオに居合わせたジョン・レノンが本作を聴き、「良いシンガーだ。僕みたいだ！」とコメントしたというエピソードが残っています。これは、スレイドの音楽が、音楽界の伝説的な人物にも認められていたことを示す興味深い逸話と言えるでしょう。

シングル収録曲

1. In for a Penny
2. Imogene

クレジット

ノディ・ホルダー - リード・ボーカル、ギター
デイヴ・ヒル - リードギター、バッキング・ボーカル
ジム・リー - ベース、アコーディオン、バッキング・ボーカル
ドン・パウエル - ドラム

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