T・レックス

T・レックス：1970年代のロックシーンを彩ったバンド

T・レックス（T. Rex）は、1970年代を代表するイングランド出身のロックバンドであり、特にグラムロックの流行に寄与した重要な存在です。このバンドは、当初「ティラノザウルス・レックス」として1967年に結成され、中心メンバーであるマーク・ボランの歌声と独特のスタイルで、音楽シーンに新風を吹き込みました。

設立の背景と初期の活動

マーク・ボランは、アコースティック・ギターとボーカルを担い、パーカッションのスティーヴ・トゥックと共にデュオとして「ティラノザウルス・レックス」を結成しました。彼らはサイケデリック・フォークロックのスタイルで始まり、1968年にリリースされたデビューアルバムは一定の評価を得ました。この時期、DJのジョン・ピールが彼らを支持しており、これが後の人気につながる要因の一つともなりました。

1969年には新たなメンバーとしてミッキー・フィンが加わり、バンドはアコースティックからエレクトリックへと移行します。1970年にバンド名を「T. Rex」に変更し、これがスターダムへの第一歩となるのです。

グラムロックの時代

T. Rexは、1970年代にグラムロックムーブメントの中核として、デヴィッド・ボウイやロキシー・ミュージックとともに活躍しました。彼らのシングル「ライド・ア・ホワイト・スワン」は全英で2位を記録し、その後も「ゲット・イット・オン」や「ジープスター」などのヒットを連発し、瞬く間に人気を博しました。この時期のアルバム『電気の武者』は、UKチャートで1位に輝き、T・レックスの商業的成功を一層押し進めました。

彼らの音楽は多くのフォロワーを生み出し、「第2のビートルズ」と呼ばれるほどの影響力を持つように。プロデューサーのトニー・ヴィスコンティは、独特なサウンドを構築し、バンドのスタイルを確立しました。

成功とその後の変遷

持ち歌「チルドレン・オブ・ザ・レボリューション」などは今もなお多くの人に親しまれ、彼らのライヴパフォーマンスも話題を呼びました。しかし1975年を境に、グラムロックブームが下火となり、T・レックスの人気も低迷し始めます。マーク・ボランの私生活における困難や麻薬問題も影響し、バンドの活動は徐々に苦境に立たされました。

彼は息子の誕生を機に生活を見直し、再起を図りますが、1977年の衝撃的な事故で29歳という若さでこの世を去ることになります。彼の死はバンドにとって大きな損失であり、以降T・レックスは活動を休止することになります。

バンド消滅後の活動と評価

マーク・ボランの死後、残されたメンバーは「Mickey Finn's T. Rex」という名前で活動を始め、2003年のミッキー・フィンの死後はバンド名をT.Rexに改称しましたが、結局、ファンからの抗議を受けて元の名前に戻しました。

2020年には「ロックの殿堂」入りを果たし、マーク・ボランの功績とT・レックスの音楽へのオマージュが改めて評価されました。こうしたことから、彼らの音楽は今でもファンに愛され続けており、時代を超えた影響を与えています。

まとめ

T・レックスは、単なるロックバンド以上の存在であり、1970年代における文化現象の一部として、多くのアーティストにインスピレーションを提供しました。グラムロックの代表格としての地位は不滅であり、マーク・ボランの遺した音楽は、今後も人々の心に響き続けるでしょう。

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