イヴェコ VM 90

VM 90多目的車

VM 90多目的車（伊: Veicolo Multiruolo VM 90）は、軽量設計と高いオフロード性能を兼ね備えた軍用の装輪車両です。本車両は、イヴェコ・デイリーをベースに、イヴェコ社が開発したもので、戦術トラックとオフロード車両の中間的な存在です。民間向けにも40E10 W/Mというモデルが存在し、法執行機関や民間警備使用向けに、さらに40E13と40E15が発売されています。

モデルの種類

VM 90は、様々な用途に応じた複数のモデルが展開されています。特に、以下の3つが代表的です。

1. VM 90T ”トルペド”（伊: Torpedo）：これは基本モデルで、幌付きの荷台を持ち、最大10名の乗員が搭乗可能です。装甲は施されていませんが、戦術兵員輸送や小型野砲の牽引、戦術指揮所としての使用が可能です。イタリア軍を含む多くの組織で利用されており、国外の任務へも対応しています。
- 特徴：4気筒エンジン、出力150 ps、全長4,500 mm、4輪駆動で最高速度105 km/h。

2. VM 90P ”プロテット”（伊: Protetto）：このモデルは、トルペドタイプに防弾鋼板を装備した装甲車両で、乗員を保護するための銃眼が設けられ、軽装甲車や救急車仕様も存在します。イタリア陸軍や赤十字社で使用されており、実際の戦闘環境での運用歴もあります。
- 特徴：軽い装甲だが、小火器に対する防護力を持ち、さまざまなバリエーションが展開されています。

3. VM 90 ”アンビュランツァ”（伊: Ambulanza）：負傷者の輸送を目的とした救急車仕様で、医療機器を搭載した衛生室を備えています。このモデルは、特に戦闘地域における負傷者輸送のために設計されています。
- 特徴：最大4基のストレッチャーを搭載でき、緊急車両としての装備も整っています。

運用実績

VM 90はイタリアを含む複数の国で運用され、特にイタリア陸軍、海軍、空軍の地上部隊で広く利用されています。また、救急車仕様は赤十字社の志願兵部隊でも使用され、様々な地域で実績を上げています。特にソマリアやイラクなどの危険地域での運用も行われており、その安全性や実用性が求められました。運用中に生じた課題も指摘されており、装甲機能などの改善が求められる場面も多々ありました。

他国の使用状況

VM 90はイタリアだけでなく、他の国々でも採用されています。具体的には、アルバニア、ベルギー、カナダ、エジプト、アラブ首長国連邦、ポルトガル、ソマリアなどがあり、中には大規模に導入している国もあります。特にカナダでは2,879両がライセンス生産されています。国際的な支援を通じて、VM 90はさまざまな地域で活躍しています。

まとめ

VM 90多目的車は、その優れた機動力と多様なモジュール性により、軍用車両の中でも特に有用な存在となっています。兵員輸送、医療搬送、さらには防衛任務まで幅広い用途に対応しており、多くの国でその実績を積み重ねています。今後も、さらなる改良が行われ、様々な戦場での需要に応えていくことでしょう。

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