イーグル (ストリートファイター)

イーグル

イーグル（Eagle）は、カプコンが手掛ける人気対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズをはじめ、関連クロスオーバー作品に登場する架空のキャラクターです。初代『ストリートファイター』でプレイヤーの前に立ちはだかる敵キャラクターとして初めて姿を見せました。担当声優は、『CAPCOM VS. SNK 2』および『ストリートファイターZERO3↑↑』では山野井仁氏が務めています。

設定と人物像

イーグルは、初代『ストリートファイター』で英国ステージに登場したCPU専用キャラクターとしてデビューしました。バーディーを打ち破った先に待ち受ける強敵という位置づけでした。彼は英国出身の紳士でありながら、特定の成金貴族に用心棒として雇われています。常に二本の短い棒を携帯し、これを巧みに操る棒術の熟練者です。

外見は口髭を蓄え、左頬に傷跡があり、白いワイシャツにネクタイ（初代ではボウタイ、後にアスコットタイ）、サスペンダー付きのズボンといった英国紳士然とした装いをしています。立ち振る舞いや言葉遣いは非常に丁寧で紳士的ですが、ひとたび闘いとなるとその様相は一変し、冷酷かつ非情な一面を覗かせます。この二面性が彼のキャラクターに深みを与えています。

初代『ストリートファイター』のプランナーである松本裕司氏によると、イーグルのキャラクターイメージは、往年のブルース・リー主演映画に登場するような「ジェントルマン」を基にしています。

シリーズでの活躍

初代『ストリートファイター』での初登場後、長い沈黙を経て『CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001』（以下『CAPCOM VS. SNK 2』）で待望の再登場を果たし、この作品で初めてプレイヤーキャラクターとして操作可能になりました。この再登場に際し、彼は「男色家」を思わせるような挑発的かつユニークな言動が加わり、新たなキャラクター造形がなされました。作中では、ザンギエフとの対戦前に互いの技をぶつけ合うデモや、チャン・コーハンの鼻くそを棒で打ち返すといった、記憶に残る専用の対戦デモが用意されました。実は『CAPCOM VS. SNK』シリーズの前作発売前からイーグルの登場は決定しており、比較的早期に開発がスタートしていたキャラクターでもあります。

その後、携帯ゲーム機向けの『ストリートファイターZERO3』の移植版であるゲームボーイアドバンス版『ZERO3↑』にて追加キャラクターとして登場しました。この物語では、純粋な「決闘（デュエル）」を追い求め世界を旅する設定となり、ガイルやサガットといった強豪と拳を交え、最終的にはベガとの対峙に至ります。PlayStation Portableでリリースされた『ZERO3↑↑』では、新たにエンディングが追加され、ガイルと共にナッシュを救出し、戦友としての絆を結ぶ様子が描かれました。この作品でも専用の対戦デモが追加されており、『CAPCOM VS. SNK 2』でのザンギエフ戦に加え、サガットの攻撃を「カンタベリーブルー」で受け流すデモが見られます。ただし、『ZERO3』におけるイーグルのキャラクターカラーは『CAPCOM VS. SNK 2』のものが流用されているため、ISMごとのカラーバリエーションは存在しません。また、『ZERO3』シリーズでは、『CAPCOM VS. SNK 2』と比較すると男色家を想起させる描写は控えめになっています。

ゲーム上の特徴

イーグルの戦闘スタイルは非常に個性的です。彼の攻撃手段はほぼ全てが手にする二本の棍棒による打撃技で構成されており、一般的な格闘ゲームキャラクターが持つ蹴り技を一切持っていません。操作する際、キックボタンを入力すると、棍棒で相手の足元など下方向を攻撃する動作となります。

また、初代『ストリートファイター』では、リュウやケンなどが放つ飛び道具である「波動拳」をガードした場合に、体力が全く削られないという独特の防御特性を持っていました。

技の解説

イーグルの必殺技の名前は、「イギリスの地名＋色の名前」というユニークな構成で統一されています。

投げ技

フールオンパイル: 相手を地面に押し倒し、棍で腹部を突く技。
パーカッションフール: 相手を掴み上げ、棍で頭部を殴りつける技。
名称不明の空中投げ: 『ZERO3』シリーズで使用。空中で相手を捕らえ押し倒し、棍で腹部を突いて地面に叩き落とす技。

必殺技

マンチェスターブラック: 両手に持った棍を構え、体を回転させながら攻撃する技。初代『ストリートファイター』では「スピンアタック」と呼ばれていました。『ZERO3↑↑』のV-ISMスタイルではZEROカウンターとしても使用可能です。
カンタベリーブルー: 片手で棍を素早く回転させ、相手の攻撃を受け流す防御技。入力するボタンによって受け流す方向（上、前、下）が変化します。ボタンを押し続けることで防御態勢を維持し、ボタンを離すとその方向へ攻撃を繰り出します。『ZERO3↑↑』のX-ISMスタイルでは使用できません。
オックスフォードレッド: 前方に素早く突進し、棍で相手を連続して突く技です。
リバプールホワイト: 短く前方にジャンプし、その落下勢いを利用して棍を振り下ろす、中段属性の攻撃です。
セントアンドリューグリーン: ゴルフのスイングのように棍を大きく振るう技。リュウやケンの波動拳などの飛び道具を打ち返すことが可能ですが、スーパーコンボによる飛び道具やコーディーの「バッドストーン」といった特殊な飛び道具は打ち返せません。『ZERO3↑↑』のX-ISMスタイルでは使用できません。

スーパーコンボ

マンチェスターゴールド: 「マンチェスターブラック」の強化版。オーラを纏った棍を両手に持ち、より強力な回転攻撃を繰り出します。X-ISMに対応したスーパーコンボでもあります。
ユニオンジャックプラチナム: 「オックスフォードレッド」の強化版。棍による打撃から素早い連続突きへと繋がる強力なコンボ技です。

他メディアでの登場

中平正彦氏の漫画『ストリートファイターZERO』にも登場しています。パリ市内でのストリートファイトで連戦連勝する実力を見せますが、後にバルログの館で開催された格闘大会にてアドンに敗北を喫します。この漫画作品におけるイーグルの服装は、初代『ストリートファイター』登場時のものが採用されています。

登場作品

ストリートファイター
CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001
ストリートファイターZERO3↑ (ゲームボーイアドバンス版のみ隠しキャラクターとして登場)
ストリートファイターZERO3↑↑ (PSP版)
SNK VS. CAPCOM カードファイターズ2 EXPAND EDITION
SNK VS. CAPCOM カードファイターズDS

なお、カプコンとSNKのキャラクターが共演するクロスオーバー作品『CAPCOM FIGHTING Jam』において、初代『ストリートファイター』の代表キャラクターとしてサガットや烈と共にプレイヤー候補に挙がっていましたが、最終的には採用されず、没キャラクターとなりました。

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