イーグル・ジャンプ

イーグル・ジャンプ：不可能を可能にした男の物語

2016年、アメリカ、イギリス、ドイツ合作で製作された映画『イーグル・ジャンプ』は、イギリス史上初のスキージャンプオリンピック代表選手、エディ・エドワーズの波乱に満ちた人生を描いた感動の実話です。近眼で運動音痴というハンデを負いながらも、並々ならぬ努力と揺るぎない情熱で夢を掴もうとする彼の姿は、観る者の心を揺さぶります。

エディは幼少期からオリンピック選手になることを夢見ていました。しかし、彼の身体能力は周囲から見れば到底オリンピック選手になれるレベルではありませんでした。近視で運動神経も悪く、周囲からは嘲笑の対象となることも少なくありませんでした。それでもエディは諦めませんでした。

ある日、エディは衝撃的な事実を知ります。なんと、イギリスにはスキージャンプの有力選手が誰もいないというのです。この事実を知ったエディは、一念発起。イギリス代表選手になるという途方もない目標を掲げ、トレーニング施設のあるドイツの雪山へと向かいます。

そこでエディが出会ったのは、かつては天才スキージャンパーと呼ばれながら、傲慢な態度と素行不良でスキージャンプ界を追放され、現在は練習場の整備係として働くブロンソン・ピアリーでした。エディはピアリーにコーチを頼みますが、当然のように拒絶されます。しかし、エディの並々ならぬ努力、そして大怪我を負いながらも練習に励む姿を見て、ピアリーは過去の自分を重ね合わせ、かつての情熱を再び燃え上がらせます。そして、エディのコーチを引き受けることを決意するのです。

こうして、師弟関係ともいえる二人のオリンピックへの挑戦が始まりました。二人の間には様々な困難が待ち受けていました。エディの才能の無さ、そしてピアリーの過去のトラウマ。しかし、彼らは互いに支え合い、励まし合いながら、不可能を可能にしていこうとします。

この映画の見どころは、エディのエネルギッシュな姿と、ヒュー・ジャックマン演じるピアリーの複雑な心情の繊細な描写です。タロン・エジャトンは、エディの不器用ながらもひたむきな姿を見事に演じきり、観客の共感を呼びます。また、ヒュー・ジャックマンは、かつての栄光を失いながらも、エディとの出会いをきっかけに再生していくピアリーを、深みのある演技で表現しています。

二人の演技だけでなく、映画全体から伝わるのは、決して才能だけで成功するわけではないというメッセージです。才能がなくても、努力と情熱があれば、夢を叶えることができるということを、エディは体現しています。

『イーグル・ジャンプ』は、劇場公開されず、ビデオスルーとなったものの、2022年2月13日にはNHK総合で放送され、改めて多くの人々の心を掴みました。この映画は、スポーツ映画の枠を超え、夢を追い続けることの大切さを教えてくれる感動的な作品です。エディ・エドワーズという一人の男の挑戦を通して、自分自身の人生を改めて見つめ直すきっかけを与えてくれるでしょう。

なお、本作には、エディが憧れる女優としてボー・デレクの名前が登場したり、ジャマイカのボブスレーチーム『クール・ランニング』に言及するシーンがあったりと、興味深い小ネタも散りばめられています。

キャストには、エディ役をタロン・エジャートン、ピアリー役をヒュー・ジャックマン、そして、その他にもクリストファー・ウォーケン、イリス・ベルベンといった豪華俳優陣が名を連ねています。日本語吹替版では、エディ役を亀田佳明、ピアリー役を山路和弘といった実力派声優陣が担当しています。

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