イージー・ライダー

映画『イージー・ライダー』の概要

『イージー・ライダー』は、1969年に公開されたアメリカの映画で、原題はそのまま「Easy Rider」です。日本では1970年に公開され、時折『イージー☆ライダー』や『イージー★ライダー』といった表記も見られます。この作品は、ピーター・フォンダとデニス・ホッパーによるアメリカン・ニューシネマの代表作として位置付けられています。

あらすじ

物語は、メキシコでのコカイン密売によって得た利益を隠し持つヒッピーたち、ワイアット（キャプテン・アメリカ）とビリーの旅から始まります。彼らは大金をハーレーダビッドソンのタンクに隠し、カリフォルニアからルイジアナ州ニューオーリンズへと向かいます。道中、カトリックの農夫から手厚い食事を受けたり、ヒッチハイクをしていた若者と出会ったりと、自由な旅を楽しむ彼ら。しかし、パレードに無許可で参加したことで逮捕されるなど、厳しい現実に直面します。彼らはそこで出会った若い弁護士ハンセンとともに旅を続けますが、彼らが求める「自由」とは裏腹に、社会の排他的な反応や暴力に直面し、厳しい現実を知ることになります。

音楽

この映画は、その音楽でも知られており、特にステッペンウルフによる「ワイルドでいこう!（BORN TO BE WILD）」は作品の象徴的な曲とされています。また、映画に使われた他の楽曲としては、リトル・エヴァの「Let's Turkey Trot」やエレクトリック・フラッグの「Flash, Bam, Pow」などが挙げられますが、いずれもサウンドトラックには収録されていません。映画で使われた「ザ・ウェイト」は本来の演者ザ・バンドのバージョンではなく、権利関係からスミスのカバーが収録されています。

ピーター・フォンダはボブ・ディランに映画の主題歌をお願いしましたが、ディランはこれを拒否。彼は「The river flows, it flows to the sea」といった歌詞をナプキンに書き残し、ザ・バーズのロジャー・マッギンにそれを渡しました。マッギンは歌詞を追加しメロディを作り、「イージー・ライダーのバラード」を完成させました。ディランは制作後に共作者としてクレジットされていることに気付き、今後のクレジットから自身の名前を外すよう求めました。これにより、現在までこの曲の作者はマッギンのみとなっています。

映画の評価

『イージー・ライダー』は、その革新性から高く評価され、1969年にはカンヌ国際映画祭で新人監督賞を受賞しました。また、第42回アカデミー賞では助演男優賞と脚本賞にノミネートされました。さらに、1998年にはアメリカ国立フィルム登録簿に選ばれ、その保存が決定されました。オリジナルのマスターは一時行方不明になるも、後に発見され、DVDとしてリリースされました。

バイク

劇中に登場するハーレーダビッドソンのバイクは1965年型で、エンジンは「パンヘッド」と呼ばれ、1200ccの排気量を持っています。特に、このバイクのフレームはフルメッキ仕上げが施されており、サスペンションがないリジッド構造が特徴です。撮影時に使用されたバイクのうち、2台が盗難に遭い、現在は行方不明ですが、最後の1台は日本で所有されています。

影響と文化

『イージー・ライダー』は、ヒッピー文化や反体制運動を象徴する映画であり、それらのアイデンティティを強く反映しています。また、ベトナム戦争や公民権運動など、1960年代のアメリカ社会の状況ともリンクしており、映画界におけるカルト的な存在感を持ち続けています。

もう一度検索