イーリー

イーリー：歴史と自然が織りなすイングランドの小さな都市

イーリーは、イングランド東部ケンブリッジシャー州に位置する、人口約2万人ほどの小さな都市です。ケンブリッジの北東約23kmにあり、古くから司教座都市として栄えてきました。1974年にロイヤル・チャーターを授与され、正式にシティの称号を得ています。イングランドでは3番目、イギリス全体では6番目に小さなシティとして知られています。

イーリーの歴史：ウナギと修道院から発展した街

イーリーという地名は、古くからこの地域に豊富に生息していたウナギ（eel）と、島（-yまたは-ey）を意味する言葉に由来するとされています。かつてこの地は、広大な泥沢地帯（The Fens）の中に点在する島々の一つで、湿潤な環境からウナギが多く生息していたと言われています。中世には、町の聖職者たちが税を納める際にウナギを通貨として用いていたという記録も残されています。

イーリー市の起源は、673年に創建された修道院に遡ります。聖エセルレダ（イースト・アングリア王アンナの娘）の庇護の下に置かれたこの修道院は、870年にヴァイキングの襲来を受けて破壊されましたが、その後再建され、発展を続けました。ウィリアム1世によるイングランド征服においても、この地は最後まで抵抗を続けた場所の一つであり、伝説的なサクソン人首領ヘリワード・ザ・ウェイクが1071年まで抵抗を続けたことは有名です。

イーリー大聖堂：フェンスの船として知られる壮麗な建築物

イーリーのシンボルとして知られるイーリー大聖堂（正式名：聖なる不分割の三位一体教会聖堂）は、壮麗なゴシック建築の代表作です。泥沢地帯を見渡すその姿から「フェンスの船」と呼ばれ、遠くからでもその存在感を示しています。1083年に着工され、1351年に完成した大聖堂は、1322年には主要塔が崩壊するなど幾多の困難を乗り越え、現在の姿となりました。西塔と8角形に再建された主要塔が印象的な外観を特徴づけています。イーリー司教管轄区は1109年に設置され、大聖堂はその中心として重要な役割を果たしています。

1636年には、オリヴァー・クロムウェルが徴税人の地位を継承後、数年間イーリーで暮らしていました。かつての彼の家は現在、観光情報局のオフィスおよびクロムウェルに関する展示を行う美術館となっています。イーリーに関連する歴史的記録は、ケンブリッジ・カウンティ記録事務所内のアーカイブスで保管されています。また、イーリー大聖堂は、ケンブリッジ市の事実上の大聖堂としての役割も担っており、ケンブリッジシャーの広大な教区を管轄しています。

グレート・ウーズ川とウォータースポーツ

イーリーはグレート・ウーズ川のほとりに位置し、かつては重要な川港として栄えました。18世紀に泥沢地帯が干拓されたことで、イーリーは島ではなくなりましたが、川は現在もウォータースポーツを楽しむ人々にとって人気のスポットとなっています。広大なマリーナがあり、ケンブリッジ大学のボートチームもボートハウスを所有し、オックスフォード大学とのボートレースの練習場として利用しています。1944年のボートレースは、イーリー近郊のグレート・ウーズ川で行われ、テムズ川以外で開催された唯一のレースとして歴史に刻まれています。

イーリーの現代：交通とスポーツ

イーリーにはフェン線のイーリー駅があり、ケンブリッジを経由してロンドンへの直通列車が運行されています。また、ノリッジ、イプスウィッチなどのイースト・アングリア地方の都市やバーミンガムへの路線も利用可能です。スポーツ面では、イーリー・シティーFCというプロサッカークラブもあります。

まとめ

歴史と自然、そして現代の活気が調和したイーリーは、イギリスの中でも独特の魅力を持つ都市です。イーリー大聖堂やグレート・ウーズ川といった観光スポットはもちろん、静かな街並みや歴史に触れることができる場所として、多くの観光客を惹きつけています。

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