ウィスコンシン (戦艦)

戦艦ウィスコンシン (USS Wisconsin, BB-64) の生涯

ウィスコンシンは、アメリカ海軍が誇るアイオワ級戦艦の4番艦として、その名を歴史に刻みました。艦名はアメリカ合衆国30番目の州、ウィスコンシン州に由来し、この名を持つ艦としては2隻目にあたります。現在は、バージニア州ノーフォークのナショナル・マリタイム・センターで、その雄姿を記念艦として見ることができます。

特筆すべきは、艦種分類番号がBB-64でありながら、BB-63のミズーリよりも先に完成したという点です。

起工から第二次世界大戦終結まで

1941年1月25日、フィラデルフィア海軍造船所で起工されたウィスコンシンは、1943年12月7日に進水、1944年4月16日に初代艦長アール・E・ストーン大佐の指揮下で就役しました。第二次世界大戦では、太平洋戦線を中心に数々の作戦に参加しました。

チェサピーク湾での公試と慣熟訓練後、1944年7月7日にノーフォークを出港し、カリブ海での整調航海を経て、フィラデルフィアで補修を受けました。9月24日には西海岸に向けて出航、パナマ運河を通過し、10月2日に太平洋艦隊に合流、ウルシー泊地で第3艦隊に加わりました。

ウィスコンシンは、フィリピン攻略戦の支援や、ルソン島、台湾、南西諸島への空襲作戦に参加し、空母部隊の護衛や艦砲射撃を行いました。1945年2月には東京への奇襲攻撃に参加し、3月には硫黄島上陸作戦を支援しました。沖縄戦では、戦艦大和との交戦や、特攻機による攻撃を経験しました。終戦間際には、北海道室蘭市や茨城県日立市など、日本本土への艦砲射撃も実施しました。

1945年9月6日には、占領軍の一部として東京湾に入港し、第二次世界大戦で105,831マイルを航海、敵機3機を撃墜、4機を僚艦と共同で撃墜という戦果をあげました。

第二次世界大戦後の活動

終戦後は、復員兵を輸送するマジック・カーペット作戦に参加しました。1946年には、南米水域を訪問し、練習艦として海軍予備役兵の訓練航海を実施しました。1948年1月には不活性化が命じられ、同年7月1日に予備役となりました。

朝鮮戦争での再就役

しかし、朝鮮戦争勃発により1951年3月3日に再就役し、同年10月25日に太平洋へ向かいました。第7艦隊旗艦として、韓国水域での艦砲射撃や空母部隊の支援に参加し、北朝鮮軍への砲撃を敢行しました。1952年3月には、北朝鮮の清津地区砲撃中に被弾するという被害も受けました。4月には姉妹艦アイオワと旗艦任務を交代して帰国、アメリカ海軍最大の浮きドックの試験も行いました。

1952年6月には再び訓練任務に就き、海軍兵学校生の訓練航海を実施しました。1953年9月には再び極東へ向かい、第7艦隊旗艦として活動しました。1955年5月には、濃霧の中で駆逐艦イートンとの衝突事故により艦首を大きく損傷しましたが、未完成艦ケンタッキーから艦首部分を移植し、わずか16日間で復旧しました。

その後も、訓練任務や艦隊演習に参加し、地中海や南米を巡航しました。

退役とその後

1957年11月には現役任務を終え、1958年4月8日に予備役となり、アメリカ海軍の現役任務から戦艦が姿を消す日となりました。

しかし、1980年代に再就役し、湾岸戦争にも参加しました。1991年9月30日に再び退役し、1996年にはノーフォーク海軍造船所に移動しました。2000年にはナショナル・マリタイム・センターに隣接して停泊し、一般公開されています。

2006年には除籍されましたが、その歴史的価値から、2010年にはノーフォーク市に寄贈され、2012年にはアメリカ合衆国国家歴史登録財に登録されました。

戦歴

ウィスコンシンは、第二次世界大戦で5つ、朝鮮戦争で1つの従軍星章を受章し、湾岸戦争では海軍部隊殊勲章を受章しました。その歴史は、まさにアメリカ海軍の歴史そのものであり、現在もなお多くの人々に愛されています。

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