ウィリアムズ・FW34

ウィリアムズ・FW34

ウィリアムズ・FW34は、ウィリアムズF1チームが2012年のフォーミュラ1世界選手権に向けて開発したレーシングカーです。2011年シーズンはわずか5ポイントと苦しい成績に終わったため、チームは技術部門の大幅なリニューアルを決定しました。新たにテクニカルディレクターに就任したマイク・コフランは、FW34の設計と開発を指導し、さらなる進化を目指しました。

エンジンに関しては、これまでのコスワース製からルノー製に切り替えられ、1997年以来の「ウィリアムズ・ルノー」の復活が果たされました。ルノー製のエンジンはコンパクトな設計が特徴で、マシンの低重心化に寄与しました。また、ラジエーターも小型化され、空力特性の向上につながりました。車体後部では、超小型のギアボックスが採用されており、サスペンションの設計も改良を受けています。具体的には、FW33で見られたリアウィングの支柱が撤廃され、ギアボックス上の突起部分がウィングステーとサスペンションマウントを兼ねる構造に再設計されました。

2012年シーズンの成果

2012年シーズンが始まると、2月7日にスペインのヘレス・サーキットでFW34が初めて公開されました。シーズンが進む中、ウィリアムズはチーム間の競争が激化する中で成長を見せ、特にスペインGPでのパストール・マルドナドの活躍が際立ちました。彼はポールポジションを獲得し、その後のレースでも優勝を果たし、ウィリアムズにとって7年半ぶりの勝利をもたらしました。この快挙を受け、マクラーレンのジェンソン・バトンは、「ザウバーは高速コーナー、ウィリアムズは低速コーナーで僕らより速い」と語りました。

チームは、マルドナドが予選でQ3に進出した回数が13回（うちポールポジション1回）であったものの、接触やペナルティによりポイント獲得は5回にとどまりました。ブルーノ・セナも10戦でポイントを獲得するものの、金曜日のフリー走行をボッタスに譲る判断がパフォーマンスに影響したと訴えました。結局、チームはコンストラクターズランキングで8位となり、前年から1つの順位上昇にとどまりました。

FW34の技術仕様

FW34のシャシーは、カーボン・エポキシとハニカム・コンポジットを用いたモノコック構造で、FIAの厳しい衝撃基準に合格しています。サスペンションはフロントがカーボンファイバー製のダブルウィッシュボーンで、リアサスペンションも同様です。ギアボックスはウィリアムズ独自の7速シームレス・シーケンシャル・セミオートマチックタイプを使用し、電子油圧制御によるギア選択も行われています。

エンジンはルノー製のRS27-2012を採用し、V型8気筒の構造を持っています。また、車両については、全長5,000mm、全高950mm、全幅1,800mmで、FIAの規定に準じたサイズで設計されています。タイヤはピレリ製で、前幅325mm、後幅375mmです。

このように、FW34はウィリアムズにとって新たな可能性を感じさせるモデルであり、2012年のシーズンを通してチームは復活の兆しを見せました。

もう一度検索