ウィリアム・ターナー (博物学者)

ウィリアム・ターナーの生涯と業績

ウィリアム・ターナー（William Turner）は、1508年頃にイングランドのノーサンバーランド州モーペスで生まれたとされる。彼は16世紀のイギリスにおいて重要な宗教改革者、牧師、そして特に植物学者として知られる。

ターナーはケンブリッジ大学のペンブルック・ホールで学び、1533年に学士号を取得した。彼はその後、研究員や会計係として活動しながら、植物に関する著作を執筆するなど、早くから博物学の研究に献身した。特に、彼の著書『Libellus de re herbaria』（1538年）は、イギリスにおける植物の科学的研究の道を切り拓く重要な作品となった。ターナーはイギリス国内の未発見の植物を調査し、その成果を詳細に記述した。

1540年からは各地で説教を行い、その中で逮捕されることもあったが、釈放後にはイタリアに渡り、そこで薬学を学んだ。フェラーラ大学とボローニャ大学での学びを経て、彼は博士号を取得し、医者としてのキャリアも築いた。ドイツに移った後は、エムデン伯爵の主治医を務めることとなり、帰国後はサマセット公爵の主治医に起用された。

ターナーは1550年、ヨーク大聖堂のDeanに就任し、1551年からはウェールズ大聖堂の首席司祭に奉仕していたが、その後、カトリックのメアリー1世の即位により国外へ逃れた。ドイツではカルヴァン主義に影響を受けつつ医者としての仕事を続け、1558年のエリザベス1世の即位後にイングランドに戻り、再びウェールズ大聖堂のDeanに就任した。しかし、彼はイングランド国教会にカルヴァン主義を根付かせようと試みたものの、1564年に職を解かれてしまう。結局、ターナーは1568年7月7日にロンドンにて生涯を終え、St Olave Hart Streetの教会に埋葬された。

ターナーの博物学への貢献

ターナーはその著作を通じて植物学の進展に大きく寄与した。彼が出版した『Avium praecipuarum, quarum apud Plinium et Aristotelem mentio est, brevis et succincta historia』（1554年）では、アリストテレスやプルタルコスなどの古代の著作における主要な鳥について詳細に論じ、鳥類への理解を深めた。また、同時期に発表した『A New Herball』（1551年）は、イギリスの植物についての先駆的な研究を行い、後の植物学の基盤となった。

『A New Herball』は植物の用途や効能について詳しく記載し、これまでの伝統的な医療知識を一般向けに広めることを試みたが、それには批判も伴った。特に当時、医療知識は医者によって独占されていたため、ターナーの取り組みは新しい視点を提供するものであった。また、彼は各植物の特性を記載し、医学の基盤となっていた四大元素との関係についても言及した。

ターナーの博物学における業績は、その後のイギリスの植物学において重要な位置を占めており、彼を「イギリス植物学の父」と称えるようになったのだ。このように、ウィリアム・ターナーは学問と実践の両面で多大な影響を与え、後の研究者たちに道を示す存在となった。彼の功績は、現代にも引き継がれ、植物学の発展に寄与している。

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