ウィリアム・デニソン (郵政長官)

ウィリアム・デニソン：南北戦争期を支えた政治家

ウィリアム・デニソン（William Dennison, 1815年11月23日 - 1882年6月15日）は、19世紀のアメリカ合衆国において、政治家、実業家として重要な役割を果たしました。ホイッグ党と共和党に所属し、オハイオ州知事（1860年 - 1862年）およびアメリカ合衆国郵政長官（1864年 - 1866年）を歴任しました。

生い立ちと家族

デニソンは1815年、オハイオ州シンシナティで、父ウィリアム・デニソン（1780年 - 1864年）と母ポリー・メアリー・カーター（1789年 - 1853年）の間に生まれました。マイアミ大学を卒業後、法律を学び、1840年にオハイオ州で弁護士資格を取得しました。同年、アン・ニール（1821年 - 1911年）と結婚しています。

初期の政治活動

実業家としてのデニソンは、為替銀行やコロンバス・ジーニア鉄道の経営に携わり、手腕を発揮しました。また、ホッキング・ヴァレー鉄道の設立にも関わるなど、鉄道事業にも貢献しました。政治家としては、ホイッグ党から共和党へいち早く鞍替えし、オハイオ州上院で反奴隷制と反差別を訴え、共和党内での地位を急速に高めました。

オハイオ州知事時代

1859年、デニソンはルーファス・ランニーを破りオハイオ州知事に就任しました。1860年から1862年まで州知事を務めたこの時期は、南北戦争勃発前夜であり、デニソンは逃亡奴隷の引き渡し要求を拒否するなど、州の立場を明確にしました。

南北戦争が始まると、デニソンは迅速に兵士を動員し、オハイオ州各地に訓練基地を設置しました。軍務経験はなかったものの、その指揮能力は高く評価され、オハイオ州軍の組織化に大きく貢献しました。また、デニソンは州軍をジョージ・マクレランの指揮下に置き、ウェストバージニア州の成立を支援しました。この間、鉄道や電話線を軍事目的に利用しようと試みましたが、民主党議員からの反発を受けました。

デニソンは反戦的なコパーヘッドを批判し、軍需物資の供給体制を整備しました。エイブラハム・リンカーン大統領を強く支持し、10万を超える兵士を北軍に送り込みました。しかし、デニソン政権は批判も受け、1862年の知事選でデイヴィッド・トッドに敗れました。歴史家リチャード・アボットは、この選挙を「権力闘争がデニソンの敗北を招いた」と評しています。

デニソンは後任のトッドに貴重な助言を与え、黒人部隊の創設を支援しました。また、1864年の共和党全国大会では議長を務めました。

郵政長官

1864年、デニソンはリンカーン大統領により郵政長官に任命されました。しかし、リンカーン大統領の暗殺後、後任のアンドリュー・ジョンソン大統領の政策に反対し、1866年に辞任しました。

晩年

南北戦争終結後、デニソンはコロンバス市議会議員を務め、フランクリン郡農業組合を設立しました。1880年には上院議員を目指しましたが、ジェームズ・ガーフィールドに敗れました。しかし、生涯を通じて政治活動に関与し続け、1882年6月15日にコロンバスで死去しました。遺体はグリーンローン墓地に埋葬されました。

参考文献

Harper, Robert S., Ohio Handbook of the Civil War. Columbus, Ohio: The Ohio Historical Society, 1961.
Reid, Whitelaw, Ohio in the War: Her Statesmen, Her Generals, and Soldiers. 2 vol. Cincinnati: Moore, Wilstach, & Baldwin, 1868.

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