ウィリアム・フォーシャグ

ウィリアム・フレデリック・フォーシャグ：地質学と鉱物学のパイオニア

ウィリアム・フレデリック・フォーシャグ (1894年3月17日 - 1956年5月21日) は、20世紀を代表するアメリカ合衆国の地質学者にして鉱物学者です。カリフォルニア大学バークレー校で学位を取得後、米国国立博物館（現・国立自然史博物館）に勤務し、そのキャリアを通して地質学と鉱物学の世界に多大な貢献を果たしました。彼の研究活動は多岐にわたり、100編近くの論文を発表し、その中にはフォシャジャイトを含む13種類もの新鉱物の発見に関する記述が含まれています。

国立博物館での貢献

フォーシャグは1919年にカリフォルニア大学バークレー校を卒業後、国立博物館に入館。1923年には「合衆国西部のコールマン石鉱床の起源」に関する研究で博士号を取得しました。同博物館の地質学部門主席学芸員として、彼は鉱物と宝石のコレクションを飛躍的に拡大することに尽力しました。

彼の最大の功績の一つは、世界屈指のコレクションを誇るワシントン・ローブリングとフレデリック・カンフィールドの個人コレクションの寄贈を受け入れたことです。約1万6千点にも及ぶローブリングコレクションは、博物館の所蔵品を格段に向上させました。ローブリングとカンフィールドは、コレクション寄贈に加え、多額の資金援助も提供しました。この資金は、1926年から1941年にかけてメキシコでの彼の研究活動に大きく貢献しました。

パリクティン火山と日本の宝石鑑定

フォーシャグの名声を不動のものにした研究は、メキシコのパリクティン火山の調査です。この火山は、科学者たちが火山のライフサイクル全体を研究する絶好の機会を与えてくれました。1943年、火山の最初の噴火を現地で目撃したフォーシャグは、2年以上にわたってその成長過程を観察し続けました。

戦後には、1946年にエドワード・ヘンダーソンと共に日本へ赴き、米軍が接収した宝石の鑑定を行いました。4か月以上をかけた鑑定の結果、これらの宝石は当時の価値で約2500万ドルに及ぶことが判明しました。日本滞在中には、御木本幸吉とその義弟である久米武夫とも面会。久米は日本の宝石学のパイオニアの一人として知られています。1949年には、アメリカの宝石専門誌『Gems & Gemology』に御木本に関する記事を発表しました。

グアテマラでの研究と晩年

1949年には、グアテマラ政府から中央アメリカ先コロンブス期のヒスイ探査を依頼されました。グアテマラ、モタグァ谷は、米国国境以南で唯一の硬玉石産地として知られています。

長年にわたる国立博物館での勤務の後、1956年にフォーシャグは逝去しました。彼の妻、メルル・クライスラー・フォーシャグも博物館でアーティストとして勤務していましたが、夫より長く生き、1977年に亡くなりました。興味深いことに、戦前には日本の理化学研究所の飯盛里安と手紙のやり取りをしていたことが、飯盛の日記から明らかになっています。

フォーシャグの研究は、新鉱物の発見、火山の研究、宝石鑑定、そして国際的な学術交流にまで及び、地質学と鉱物学の発展に多大な貢献をしました。彼の功績は、現在も世界中の研究者たちに影響を与え続けています。彼の残した論文は、今も多くの研究者によって参照され、その価値は不変です。

主要論文

Larsen, Esper S.; Foshag, William F. (1921). “Merwinite, a new calcium magnesium orthosilicate from Crestmore, California”. American Mineralogist 6 (No.10): 143 - 148.
Foshag, William F. (1931). “Schairerite, a new mineral from Searles Lake, California”. American Mineralogist 16 (No.4): 133 - 139.
Foshag, William F. (1935). “Burkeite, a new mineral species from Searles Lake, California”. American Mineralogist 20 (No.1): 50 - 56.
Foshag, William F. (1941). “Problems in the study of meteorites”. American Mineralogist 26 (No.3): 137 - 144.
Foshag, William F. (1950). “The aqueous emanation from Paricutin volcano”. American Mineralogist 35 (Nos.9 and 10): 749 - 755.
Foshag, William F. (1954). “Acceptance of the Roebling Medal of The Mineralogical Society of America”. American Mineralogist 39 (Nos.3 and 4): 296 - 299.

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