ウィリアム・ヘイグ

ウィリアム・ヘイグ：英国保守党の重鎮

ウィリアム・ヘイグ（Rt Hon William Hague、1961年3月26日 - ）は、イギリスの政治家です。保守党の党首、外務・英連邦大臣などを歴任しました。その経歴、政治思想、および主要人物との関係について解説します。

生い立ちと初期のキャリア

1961年、サウス・ヨークシャーのロザラムで生まれたヘイグは、幼少の頃から卓越した弁論の才能を発揮しました。1977年の保守党大会では、16歳にして行った演説が、当時の党首マーガレット・サッチャーから「ウィリアム・ピットの再来」と絶賛されました。

オックスフォード大学モードリン・コレッジに進学し、哲学、政治経済学（PPE）を専攻。大学在学中には、オックスフォード大学保守連盟やオックスフォード・ユニオンの会長を務めました。卒業後は、ロイヤル・ダッチ・シェルやマッキンゼーで勤務した後、INSEADで経営学修士（MBA）を取得しました。

政界入りと保守党党首就任

1987年の総選挙で落選を経験するも、1989年の補欠選挙で初当選し、政界入りを果たしました。1990年代には、複数の大臣の議会秘書官を経て、1995年にはウェールズ大臣に就任。ウェールズ省職員だったフィオナ・ジェンキンスと結婚しました。

1997年の総選挙で保守党が敗北し、ジョン・メージャー党首が辞任すると、ヘイグは党首選に立候補し、ケネス・クラークやマイケル・ハワードといった大物議員を破り、36歳という若さで党首に就任しました。

党首辞任後とフロントベンチ復帰

2001年の総選挙でも保守党は惨敗し、ヘイグは責任を取って党首を辞任しました。党首辞任後は、バックベンチャーとして活動する傍ら、執筆・講演活動に力を入れました。2004年には、ウィリアム・ピット（小ピット）の伝記を出版し、英国ブックアワードの歴史部門を受賞。2007年には、奴隷制廃止運動家のウィリアム・ウィルバーフォースの伝記を上梓しました。この時期には、最も高収入な下院議員の一人として、年間100万ポンドを稼ぐこともありました。

2005年の総選挙後、デービッド・キャメロンが党首に選出されると、ヘイグは影の外相兼筆頭大臣（副党首格）に任命され、フロントベンチに復帰しました。2010年の総選挙で保守党が第一党となると、自由民主党との連立交渉を主導し、キャメロン内閣で外務・英連邦大臣に就任しました。

2014年に外務・英連邦大臣を辞任し、庶民院院内総務に就任。2015年には、一代貴族として「ノースヨークシャー州リッチモンドのヘイグ男爵」に叙されました。

政治思想と主要な意見

ヘイグは、トルコの欧州連合（EU）加盟に関して、準加盟国としての関係を提唱し、共通市場としての貿易は行うものの、人の移動は制限すべきという見解を示しました。また、ドナルド・トランプを「畏怖の念を与える候補者」と評し、その政策や言動に懸念を示しました。

デービッド・キャメロンとの関係

ヘイグは、デービッド・キャメロンを「最も理性的な人物」と評し、連立政権の維持、野党との交渉、そして保守党をオープンにしたことなどを高く評価しました。キャメロンのリーダーシップによって、保守党は安定した政権与党になったと述べています。

ウィリアム・ヘイグは、イギリス政治において重要な役割を果たした人物であり、その政治手腕と知性は高く評価されています。

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