ウィリス・ホイットニー

ウィリス・ノートン・ホイットニー（Willis Norton Whitney、1855年10月18日 - 1918年10月26日）は、明治時代に日本で活躍したアメリカ合衆国の医師です。彼は医療活動を通じて、日本とアメリカの友好関係を深めることに貢献しました。

生涯と業績

ニュージャージー州ニューアークで生まれたホイットニーは、1875年（明治8年）に森有礼の推薦を受け、父ウィリアム・コグスウェル・ホイットニー、母アンナ・ホイットニー、姉クララ・ホイットニー、妹アデレイド・ホイットニーと共に来日しました。姉のクララは後に勝海舟の三男、梶梅太郎と結婚しています。

当初、電気工学を学んでいたホイットニーですが、来日後に母の希望で医師を目指すことになりました。横浜で外国人医師のもとで医学を学び始めましたが、経済的な困難に直面し、1878年（明治11年）から1年間、金沢の石川県啓明学校（現在の金沢大学）で教長を務めました。その後、東京に戻り、東京帝国大学（現在の東京大学）のお雇い外国人であったドイツ人医師、エルヴィン・フォン・ベルツの指導を受け、東大初のアメリカ人留学生として医学を修めました。彼は日本人に眼疾患が多いことから眼科を専攻しました。

1880年（明治13年）には、アメリカで学位を取得するため一時帰国し、ペンシルベニア大学に転校しました。1882年（明治15年）に再来日した際には、アメリカ公使館の通訳を務めました。再来日の途上、父ウィリアムがロンドンで亡くなり、翌1883年（明治16年）には母アンナも東京で亡くなりました。1885年（明治18年）には、父の死後にお世話になったフレンド派巡回伝道師ジョゼフ・ブレイスウェイトの娘と結婚しました。

1886年（明治19年）には、母の死に際して寄せられた義援金を元に、勝海舟らと共に赤坂に施療病院「赤坂ホスピタル」を設立しました。また、公使館通訳の傍ら、執筆活動や宣教師・教師の斡旋など、多岐にわたり明治時代における日米関係の向上に貢献しました。1895年（明治28年）に通訳の職を辞し、医療伝道に専念するため日本を離れ、1918年にイギリスのオクスフォードシャーバンベリーで生涯を閉じました。

赤坂ホスピタルは、1886年に来日した英国聖書協会日本責任者でジョゼフの息子であるジョージ・ブレイスウェイト夫妻の協力により「赤坂病院」と改称され、その後「日本基督教団赤坂教会」として再出発しました。

関連情報

ホイットニーの生涯については、彼の夫人と梶夫人が共著した『ドクトルホイトニーの思ひ出』（基督教書類会社, 1930）という書籍があります。ただし、ウィリスの長男Willis Bevan Whitneyによれば、この本は宗教的な目的で書かれたものであり、必ずしも事実を正確に反映しているとは限らないとされています。

まとめ

ウィリス・ノートン・ホイットニーは、医師として、また日米間の文化交流の担い手として、明治時代の日本に大きな足跡を残しました。彼の設立した赤坂病院は、現在も日本基督教団赤坂教会として、地域社会に貢献し続けています。

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