ウィルソン・フィッティパルディ

ウィルソン・フィッティパルディ・ジュニア：ドライバーからチームオーナーへ

ウィルソン・フィッティパルディ・ジュニアは、1943年12月25日、ブラジルのサンパウロで生まれました。モータースポーツジャーナリストだった父とレースに情熱を燃やした母を持つ、まさにモータースポーツ一家に育ちました。幼い頃からレースに親しみ、弟のエマーソンと共にカートやフォーミュラ・Veeで活躍しました。 第二次世界大戦後のブラジルにおいて、レースが盛んに行われるようになった家庭環境は、彼のレーシング人生の土台となりました。

ヨーロッパでの挑戦とF1デビュー

F3参戦を目指し1960年代に渡欧しますが、チームとの不和によりブラジルに帰国。その後、1970年にイギリスのジム・ラッセル・レーシングスクールに入学します。F3で才能を開花させ、将来のF1チャンピオンとなるニキ・ラウダやジェームス・ハントと互角に渡り合いました。1971年にはF2にステップアップし、バーダル・フィッティパルディチームに所属。ランキング6位という好成績を残しました。

その活躍が認められ、1972年にブラバムからF1デビュー。しかし、F2時代の輝かしい活躍とは異なり、中団に甘んじることとなります。1973年のアルゼンチンGPとドイツGPで計3ポイントを獲得したのみでした。

ブラジル初のF1チーム「コパスカー」の設立

1974年、ウィルソンはF1ドライバーとしての活動を休止。大きな目標として、ブラジル初のF1チーム設立に挑みました。1975年、砂糖・アルコール製造会社のコパスカーと協力し、念願のコパスカーチームを設立。自らドライバー兼オーナーとして参戦しますが、チームの戦力不足により、目立った成績を残せませんでした。翌1976年以降はチーム運営に専念し、1982年にチームは撤退しました。

兄弟、親子でのF1入賞という偉業

ウィルソンのF1での入賞はわずか2回でしたが、いずれも弟のエマーソンと共に表彰台に立つという快挙でした。F1において兄弟が同時に参戦、入賞を果たしたのは、フィッティパルディ兄弟が初めてでした。この記録は、後にシューマッハ兄弟が達成するまで破られることはありませんでした。

息子であるクリスチャン・フィッティパルディもF1ドライバーとなり、1992年にミナルディからF1デビュー。ウィルソンは息子のキャリアをサポートし、クリスチャンは日本GPで入賞を果たしました。これにより、フィッティパルディ親子は、F1で入賞した最初の親子となりました。

F1引退後も続くモータースポーツへの情熱

F1引退後も、ウィルソンはストックカー・ブラジル選手権など様々なレースに参戦し続けました。1994年と1995年には息子とチームを組み、「1000マイルレース」で優勝。60歳を超えてからも、イベントなどでフィッティパルディのレーシングカーを操る姿が見られました。2024年2月23日、80歳で逝去しました。

チームオーナーとしての功績

ウィルソンとエマーソン兄弟は、若くして自動車用カスタムパーツ販売会社を設立し、レース活動資金を稼ぎ出しました。この経験が、彼らがコパスカーチーム設立へと導いた重要な要因と言えるでしょう。ブラジル初のF1チームを設立し、運営に携わった彼の貢献は、ブラジルにおけるモータースポーツの発展に大きく寄与しました。

ウィルソン・フィッティパルディ・ジュニアは、ドライバーとして、チームオーナーとして、そしてモータースポーツ一家の一員として、ブラジルそして世界のモータースポーツ界に大きな足跡を残しました。彼の功績は、これからも長く語り継がれていくことでしょう。

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