ウィルファ原子力発電所

ウィルファ原子力発電所

ウィルファ原子力発電所（Wylfa Nuclear Power Station）は、北ウェールズのアングルシー島クマイス海岸に位置する原子力発電所です。この発電所は、アイリッシュ海のクマイス湾から冷却水を取り入れ、1963年に建設が開始され、1971年には運転を開始しました。設置されているのは、490MW級マグノックス炉を用いた2基の発電炉であり、それぞれ1号機と2号機として知られています。2号機は2012年に運転を終了し、1号機も2015年末に運転を停止しました。

発電所の歴史

この発電所の建設は、イングリッシュ・エレクトリック、バブコック・アンド・ウィルコックス、テイラー・ウッドロウの合弁による英国原子力設計建設（BNDC）によって行われました。発電所の原子炉は「原子力グループ」が製造し、タービンはイングリッシュ・エレクトリックが手掛けました。ウィルファは、トロースフィニッド原子力発電所に次ぐウェールズでの2つ目の原子力発電所であり、1991年にトロースフィニッドが運用終了した後は、ウェールズ唯一の原子力発電所としての地位を確立しました。

建設当初から稼動中は、ウィルファの原子炉はイギリス国内最大かつ最後のマグノックス型原子炉であり、一般的に毎日23GWhの電力を供給していました。これらの炉は、鋼鉄の代わりにプレストレスト・コンクリートによる圧力容器を使用しており、安全性と建設効率の向上が図られていました。設計上は1190MWの出力を予定していましたが、実際には様々な要因から出力が調整され、980MWまで引き上げられました。

発電所の運営は、中央発電局から始まり、ナショナル・パワー、マグノックス・エレクトリックを経て、現在はマグノックス社が行っています。この会社は、英国の民生用原子力施設の廃止および解体に関する監督機関により支配されています。運転期間中には、2000年に発見された溶接部の劣化により安全審査が必要となり、グリーンピースによる独立した安全評価も行われましたが、再稼動は許可されました。こうした問題を背景に、反核団体PAWBは早期の発電所閉鎖を求める運動を続けています。

2006年には、発電所の運転が2010年に終了するとの発表がありましたが、40周年を迎えて運転は2012年まで延長されることが決定しました。1号炉の稼動は2014年まで延長され、最終的に2015年に運転が完全に停止しました。

将来計画

ウィルファ原子力発電所の新たな建設計画は「ウィルファ・ネーウィズ（Wylfa Newydd）」と称され、かつてはウィルファBという名前で知られていました。この新しい計画は、地域の産業、特にアングルシー・アルミニウム社の電力需要を満たすことを目的としており、2009年に同社が操業を停止して以降もその必要性が評価されています。2006年には地元議会がこの計画を支持する投票を行いましたが、反対の声も存在します。

2009年には、E.ON UKとRWE npowerの合弁企業ホライズン・ニュークリア・パワーが、既存の発電所敷地に原子炉の導入を計画しました。しかし、2012年には建設計画が棚上げされ、その後日立製作所がホライズンを買収しました。2020年には日立がこの計画からの撤退を発表し、今後の動向は注目されます。

まとめ

ウィルファ原子力発電所は、ウェールズにおける原子力発電の歴史において重要な存在です。現在は運転を終えていますが、将来的な再構築の可能性を秘めており、地域のエネルギー供給に関する議論は続いています。技術的課題や反対運動はありますが、持続可能なエネルギーの確保に向けた道筋が模索されています。

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