ウィレム＝アレクサンダー (オランダ王)

ウィレム＝アレクサンダー国王

ウィレム＝アレクサンダー（Willem-Alexander）は、1967年4月27日にオランダで誕生しました。全名はウィレム＝アレクサンダー・クラウス・ヘオルフ・フェルディナント・ファン・オラニエ＝ナッサウといい、現在、第7代オランダ国王として2013年4月30日から在位しています。また、ドイツ貴族であるアムスベルク家の家長も務めています。

生い立ちと教育

ウィレム＝アレクサンダーは、当時王女であったベアトリクス（後の女王）とクラウス殿下の間に、オランダのユトレヒトで第一子として生まれました。彼の誕生は、祖母であるユリアナ女王の治世下にあたり、オラニエ＝ナッサウ家にとって116年ぶりとなる直系男子の誕生として注目されました。その後、1968年にはヨハン・フリーゾ王子、1969年にはコンスタンティン王子と、2人の弟が誕生しています。

彼はハーグにあるプロテスタント系の小学校で、様々な背景を持つ子どもたちと共に学びました。その後、教育はウェールズのアトランティック・カレッジ、そしてライデン大学へと進み、史学の学位を取得しています。

結婚と家族

2002年、ウィレム＝アレクサンダーはアルゼンチン出身のマクシマ・ソレギエタと結婚しました。マクシマ王妃の父がアルゼンチンの軍事政権下で大臣を務めていたことから、この結婚には当初、国内で賛否両論が起こりました。しかし、王妃の父親が軍事政権による人権侵害に関与していないことが明確になったため、結婚が認められる運びとなりました。マクシマ王妃がカトリック教徒であることから、一時はイギリスの王位継承権を失いましたが、2013年の法改正によりその権利は回復しています。

夫妻の間には、3人の娘が誕生しています。2003年に長女カタリナ＝アマリア王女（オラニエ女公、王太子）、2005年に次女アレクシア王女、2007年に三女アリアーネ王女が生まれ、国王は3人のプリンセスの父親でもあります。

国王即位

2013年4月30日、母であるベアトリクス女王が退位を宣言し、ウィレム＝アレクサンダーがオランダ国王に即位しました。これにより、1890年にウィレム3世が崩御して以来、実に123年ぶりとなる男性国王の誕生となりました。即位式典はアムステルダム新教会で厳かに執り行われ、この時には日本の皇室から当時の皇太子殿下（現在の天皇陛下）と同妃殿下も参列されています。国王の即位に伴い、毎年4月30日に祝われていた「女王の日」は、ウィレム＝アレクサンダー国王の誕生日である4月27日に変更され、「王の日」として新たな国民の祝日となりました。

多様な活動と人物像

ウィレム＝アレクサンダー国王は、公務だけでなく多岐にわたる活動で知られています。1998年から2013年まで国際オリンピック委員会（IOC）の委員を務めるなど、スポーツ分野にも貢献しました。

特に彼のユニークな一面として知られるのが、飛行機への深い情熱とパイロットとしての顔です。彼はパイロットの資格を取得しており、「王族でなければ旅客機のパイロットになりたかった」と語るほどです。過去には、アフリカ医療研究教育基金（AMREF）やケニア自然保護局で無給または有給のパイロットとして勤務した経験があります。また、母であるベアトリクス女王の移動の際に、自ら操縦桿を握ることもありました。

2017年5月には、オランダの航空会社KLMの子会社であるKLMシティホッパーで、実に21年間もの間、フォッカー70型機の副操縦士として定期的に勤務していたことを明らかにしました。多くの乗客は、彼が国王であることに気付かなかったといいます。その後、ボーイング737の操縦訓練も受けています。

母国語であるオランダ語のほか、英語、ドイツ語、スペイン語に堪能で、趣味はスキー、スケート、乗馬といったスポーツを愛好しています。

日本の皇室との交流

オランダ王室は、イギリス王室やスウェーデン王室など、君主制を持つ他国のロイヤルファミリーとの交流が盛んなことで知られており、日本の皇室とも特に親密な関係を築いています。

ウィレム＝アレクサンダー国王は、王太子時代を含め15回以上も来日しています。2014年10月には、即位後初となる欧州域外への国賓訪問として日本を訪れました。皇居での宮中晩餐会では、第二次世界大戦における両国の苦しみに触れ、「互いの苦しみを認め合うことが両国の和解の基礎となる」と述べ、歴史を直視することの重要性と、それを通じて日蘭両国が新たな信頼関係を築いてきたことを強調するスピーチを行いました。2019年10月には、妻であるマクシマ王妃と共に再び来日し、今上天皇陛下の即位礼正殿の儀に参列しています。

子女

ウィレム＝アレクサンダー国王とマクシマ王妃の間には、以下の3人の娘がいます。

カタリナ＝アマリア・ベアトリクス・カルメン・ヴィクトリア王女（2003年 - ） - オラニエ女公
アレクシア・ユリアナ・マルセラ・ローレンティン王女（2005年 - ）
* アリアーネ・ウィルヘルミナ・マクシマ・イネス王女（2007年 - ）

ウィレム＝アレクサンダー国王は、伝統的な君主の役割を果たしつつも、現代的な感覚を持ち合わせた国王として、国内外でその存在感を示しています。特にパイロットとしての経歴は、彼の多才で人間味あふれる一面を象徴しています。

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