ウィロー (ゲーム)

映画を基にした多種多様なゲーム『ウィロー』

1988年にMindscapeから発売されたパーソナルコンピュータ版、1989年にカプコンから発売されたアーケード版とファミリーコンピュータ版『ウィロー』は、いずれも同名の映画を原作としていますが、ゲーム内容はプラットフォームごとに大きく異なります。

パーソナルコンピュータ版

1988年に北米と欧州で発売されたPC版は、アクションアドベンチャーゲームとして、一人称視点のアドベンチャーパートとトップビューのアクションパートが組み合わさっています。Amiga、Atari ST、コモドール64、PC/AT互換機|PC_AT互換機など、当時の主要なパーソナルコンピュータに対応していました。

アーケード版

アーケード版『ウィロー』は、1人プレイ専用の2Dアクションゲームです（2人交互プレイが可能）。特徴的なのは、主人公がステージごとにウィローとマドマーティガンに切り替わる点です。全6ステージ構成で、各ステージのボスを倒すことでゲームは進行します。

ゲームシステム

アーケード版では、ボタンを押し続けることで気合を溜め、強力な攻撃を繰り出すことができます。敵を倒すと手に入るお金でアイテムを購入し、パワーアップすることが可能です。気合ゲージの上限を上げ、溜める時間に応じて攻撃の威力を上げるといったシステムになっています。

特にウィローは、新しい魔法を購入するごとに多彩な攻撃手段を使えるようになります。一方、マドマーティガンは攻撃力とリーチの長さしか変化しません。

ストーリー

物語は、ノックマーを支配するバブモーダ女王が、「体に印を持つ特別な子が女王を滅ぼす」という予言を恐れ、生まれたばかりの赤子を抹殺しようとするところから始まります。しかし、その赤子は助産婦によって川に流され、ネルウィン谷にたどり着きます。映画では、ウィローが長老の指示で赤子エローラを人間の元へ送り返す旅に出る一方で、ゲームではすでにエローラがバブモーダにさらわれており、ウィローは長老の言葉を胸に旅立ちます。

エンディングでは、バブモーダが倒され、世界に平和が戻り、偉大なる魔術師ウィローと勇敢なる戦士マドマーティガンの名前が語り継がれます。

ステージ構成

STAGE1：クロス・ロード
プレイヤー：ウィロー
ボス：デスドラゴ
クリア後、マドマーティガンが仲間になる。
STAGE2：チェルリンドゥリアの森
プレイヤー：マドマーティガン
ボス：なし。馬車上での戦闘。
STAGE3：フィン・ラジィールの島
プレイヤー：ウィロー
ボス：キングドゥルイド
STAGE4：ソーシャのキャンプ
プレイヤー：マドマーティガン
ボス：ソーシャ
クリア後、ボーナスステージ。
STAGE5：ティア・アスリーン城
プレイヤー：ウィローまたはマドマーティガン
ボス：エボシィスク
STAGE6：ノックマー城
プレイヤー：前半マドマーティガン、後半ウィロー
ボス：前半カエール将軍、後半バブモーダ女王

主要キャラクター

ウィロー・アフグット：ネルウィン族の農夫兼魔法使い。プレイヤーキャラクター。魔法攻撃が得意。
マドマーティガン：放浪の剣士。プレイヤーキャラクター。剣による攻撃が得意。
ブラウニーズ：槍を持った妖精。隠しキャラクター。ウィローをサポート。
フィン・ラジィール：バブモーダに対抗する「良い魔法使い」。フクロネズミの姿で登場。
ソーシャ：バブモーダの娘。ゲーム内では敵として登場。
エアク：ギャラドーンの残党。デモ画面でのみ登場。
カエール将軍：マドマーティガンの宿敵。ゲーム内ではボスキャラクター。
バブモーダ女王：悪の女王。物語の黒幕。
* エローラ・ダナン：バブモーダが恐れる赤子。エンディングに登場。

スタッフ

企画：川野広行、伊東正剛
プログラム：新井幸雄、とみたきょうこ、YOKOYAN、UEYAN
キャラクター・デザイン：FRUNKY KAZU、よこたよこぞう、TERUKUN、HIRAMACHO、栗原明美、PUTTSUN MIDORI、松本貞姫、中村幽子、RINMA、OKACHAN
音楽：立石孝
ハード・デザイン：口野真司
ディレクション：岡本吉起

評価

アーケード版は、ゲーム誌『ゲーメスト』の企画「第3回ゲーメスト大賞」でベスト演出賞10位、年間ヒットゲーム21位を獲得しています。

ファミリーコンピュータ版

カプコンより発売されたファミコン版は、2DアクションRPGとして登場しました。プレイヤーはウィローのみを操作し、剣と魔法で戦います。マドマーティガンとソーシャはサブキャラクターとして登場します。アーケード版以上にウィローが強く設定されているのが特徴です。

ゲームシステム

ファミコン版では、お金の概念がなく、必要なアイテムはフィールド上で入手します。ゲームオーバーになるとパスワードが表示され、続きからプレイできます。

スタッフ

ゲーム・デザイン：北村玲
プログラム：DAVID BOØWY、MOE
ビジュアル・デザイン：本間雅子、京谷有紀、NAGINEKO
モンスター・デザイン：富田直哉、松村ひろのり、TALL NOB
サウンド・プログラム：藤田晴美
スペシャル・サンクス：HEARTY.J、MAKICHAN

評価

ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューで合計26点（満40点）、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」では21.05点（満30点）を獲得しています。同誌では、「洗練されたゲームシステム」、「特徴づけられた魔法」、「原作イメージを損なわないストーリー展開」などが評価されています。

まとめ

映画『ウィロー』を原作としたゲームは、それぞれの機種で異なる魅力を持つ作品として、当時のゲームファンに楽しまれました。PC版のアクションアドベンチャー、アーケード版のステージクリア型アクション、ファミコン版のアクションRPGと、多種多様なゲームシステムで映画の世界観を表現しています。特にアーケード版は、ステージごとに主人公が切り替わる斬新なシステムや、映画の雰囲気を再現した美しいグラフィックが評価されました。

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