ウィンザー公爵

ウィンザー公爵とは

ウィンザー公爵は、かつて存在したイギリスの公爵位であり、連合王国貴族の爵位です。この爵位は、1936年に退位したイギリス国王エドワード8世が、1937年3月8日に叙爵されたことで誕生しました。爵位の名前は、イギリス王室が所有するウィンザー城に由来しています。

誕生の背景

ウィンザー公爵の誕生は、エドワード8世の退位という異例の事態と深く結びついています。エドワード8世は、離婚歴のあるアメリカ人女性ウォリス・シンプソンとの結婚を望み、そのために王位を放棄することを決意しました。1936年12月10日、彼は退位詔書に署名し、国王の座を去りました。

この退位劇は、イギリス王室と政府に大きな衝撃を与えました。退位後のエドワード8世の身分や称号は大きな問題となり、政府は閣議でこの問題を議論しました。その後、王弟ヨーク公（後のジョージ6世）と首相が中心となって、この問題の解決にあたりました。

爵位の決定

爵位名「Windsor」を最初に提案した人物は不明ですが、12月11日には、ヨーク公、元国王秘書官のウィグラム男爵、大法官府次官らが集まり、称号問題について話し合いました。同日、ヨーク公から「ウィンザー公」の称号を提案されたエドワード8世は、「響きが良い」とこれを了承しました。

翌12日、新国王となったジョージ6世は枢密院で、エドワード8世をウィンザー公爵に叙爵すること、および殿下（Royal Highness）の敬称の使用を許可することを発表しました。正式な叙爵の特許状は、1937年3月8日に発行されました。

しかし、同年5月には、爵位の継承について「公爵の妻とその子孫はその称号を保持しない」と官報で発表されました。これは、ウォリス・シンプソンとの結婚が、王室にとって複雑な問題であったことを示唆しています。

その後

ウィンザー公は1937年6月3日にウォリス・シンプソンと結婚しましたが、二人の間に子供はいませんでした。ウィンザー公は1972年に亡くなり、その結果、ウィンザー公爵の爵位は廃絶しました。

その他の影響

近年では、エリザベス2世の孫であるヘンリー王子とメーガン・マークルの結婚直前に、ヘンリー王子に与えられる爵位について議論がなされました。しかし、エドワード8世の退位、ウォリス・シンプソンとの結婚、第二次世界大戦前の親ナチス的な態度といった負の記憶を想起させることから、ウィンザー公爵の爵位がヘンリー王子に与えられることはないと予想されました。結果として、ヘンリー王子はサセックス公爵に叙爵されました。

まとめ

ウィンザー公爵の爵位は、イギリス王室の歴史において特異な存在です。エドワード8世の退位という異例の出来事を背景に生まれ、その後の歴史にも様々な影響を与えました。この爵位は、イギリス王室の歴史における重要な出来事の一つとして、今もなお語り継がれています。

注釈：特になし

参考文献：水谷, 三公『イギリス王室とメディア - エドワード大衆王とその時代』（初版）筑摩書房、1995年。

関連項目:
プリマス伯爵 - ウィンザー男爵を従属爵位とする
ウィンザー子爵
ビュート侯爵 - ウィンザー伯爵を従属爵位とする

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