ウィンフィールド・ニブロ

ウィンフィールド・ニブロの生涯と業績

ウィンフィールド・P・ニブロ（Winfield P. Niblo, 1912年8月5日 - 2007年3月8日）は、20世紀中盤にアメリカで活躍した教育者であり、軍人でした。テキサス州リビエラで生まれ、コロラド州デンバーで育ち、デンバー大学でビジネスを専攻しました。卒業後、デンバーのイースト高校で教師として教鞭を執っていましたが、1943年に兵士として軍に召集されました。

コロンビア大学で教育行政の博士号を取得後、ニブロは対敵防諜要員として日本に派遣され、第二次世界大戦終結後には連合国最高司令官総司令部（GHQ）の民間情報教育局（CIE）で主任教官を務めました。この役職において、彼は日本の教育制度改革を指導し、特に学制改革の際に旧制中学校・高等女学校を高等学校に改組する過程で、男女共学化を強く推進しました。

長崎での教育改革

1946年から1948年にかけて、ニブロは長崎軍政府教育官として長崎に赴任しました。その間、長崎市と佐世保市内の公立旧制中学校と高等女学校を再編し、長崎西高校、長崎東高校、佐世保北高校、佐世保南高校という男女共学の公立高等学校を設立しました。彼の尽力により、長崎県内の公立普通科高校は全て共学に移行しました。

フォークダンスの普及

ニブロは、長崎赴任中にフォークダンス（特にアメリカ発祥のスクウェアダンス）を日本に伝えました。1946年秋、県幹部との会食で余興として披露したことがきっかけとなり、彼は「日本のフォークダンスの父」とも呼ばれるようになりました。ニブロは、男女が手を取り合って踊るフォークダンスを通じて、民主主義と男女平等の理念を広めることを目指しました。各地で講習会を精力的に開催し、その人気は地元新聞にも報道されるほどでした。市民の要望により、ニブロの転任が延期されたというエピソードも残っています。

スポーツを通じた日米友好

ニブロは教育活動に加え、ソフトボール（スローピッチ）の普及にも尽力しました。彼は、占領軍CIE職員としての役割を教育と日米間の良好な関係構築と捉え、ダンスやスポーツなどのレクリエーションを通してアメリカの正当性を伝え、原爆投下に対する憎しみを抱かせないよう努めました。

その後の活動

長崎での勤務を終えた後、ニブロは北海道に赴任し、1949年にはスキー大会で札幌に来ていた三笠宮崇仁親王のためにダンスパーティーを開き、スクウェアダンスを披露しました。これをきっかけに三笠宮崇仁親王は日本レクリエーション協会の総裁に就任しました。ニブロは8年間日本に勤務した後、1951年に帰国。その後も様々な国に赴任し、25年間軍に務めました。1976年から1985年までチャイルドケアセンターで子供たちに体育を教え、1982年には瑞宝章を受勲しました。

2007年3月8日、ニブロはデンバーの自宅で94歳で亡くなりました。彼の功績を称え、長崎県佐世保市のハウステンボスでは、毎年4月に「ウインフィールド・P・ニブロ記念 佐世保・ハウステンボス フォークダンスフェスティバル」が開催されています。

関連書籍

レイン・アーンズ著『長崎居留地の西洋人』長崎文献社 (2003/02)

脚注

西日本新聞 フォークダンスフェスティバル
PLAY!:この人この時代 第10話 ソフトボール 辻一三さん他の群像

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