フォークダンス

フォークダンス：世界の伝統舞踊への誘い

フォークダンスは、世界各地に伝わる民族固有の踊りの総称です。盆踊りや神楽といった日本の伝統舞踊も広義には含まれますが、日本では一般的に海外から伝来した踊りを指す場合が多いです。キャンプファイヤーなどでも親しまれており、その親しみやすさから多くの人々に愛されています。

フォークダンスの多様性

フォークダンスは「民族舞踊」または「民俗舞踊」と訳され、その様式は地域や文化によって大きく異なります。日本では、欧米のフォークダンスが広く普及していますが、アフリカやアジアのものは比較的少ないのが現状です。現地での伝統的な踊り方に重きを置く場合は、「フォークロアダンス」という呼称が用いられることもあります。

日本のフォークダンスは、戦後のGHQの占領政策下で普及活動が行われた歴史があり、特に米国経由で伝来したものが多く見られます。導入方法に着目すると、大きく分けて以下の3つのパターンに分類できます。

1. 米国経由で導入されたもの
2. 現地から講師を招いて導入されたもの
3. 日本人が外国で学び、伝えたもの

これら多様な経路を経て日本に伝来したフォークダンスは、現在、3500曲にも及ぶと言われています。代表的な楽曲として「マイム・マイム」「藁の中の七面鳥」「ジェンカ」「コロブチカ」などが挙げられます。

フォークダンスには、踊り手同士の交流を目的としたものや、観客に見せるためのパフォーマンスとして洗練されたものなど、様々な目的が存在します。ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、ウクライナ、ロシアなどでは、後者、つまり観客を魅了するための高度な振り付けを施されたフォークダンスが盛んです。

また、英国のスコティッシュ・カントリー・ダンス（S.C.D）、米国のスクェアダンスやラウンドダンスなども、フォークダンスの範疇に含まれる場合があります。

世界各国のフォークダンス

以下、地域別に代表的なフォークダンスをいくつか紹介します。これはほんの一例であり、各地域にはさらに多くのフォークダンスが存在します。

極東

日本：日本民踊、日本舞踊、新舞踊
朝鮮：農楽
中国：ヤンガー
インドネシア：ケチャ、サンヒャン・ドゥダリ、ペンデッ、レゴン
フィリピン：バンブーダンス（ティニクリン）
インド：オリッシー、バングラ

中東

イスラエル：クレズマー、デブカ
トルコ：カシク、ゼイベク、セマー、テケ、ハライ、バル、ホラ、ホロン

アフリカ

エジプト：ハッガーラ

ヨーロッパ

クレズマー、コロ、チョチェク、ベリーダンス（クレズマーは中東にも分類される）
ギリシャ：カラマティアノス、コフトス、シルタキ、シルトス、ゼイベキコス、チフテテリ、ツァミコス、ハサピコス、バロス、ペントザリ
マケドニア：オロ、デドミリデド、バフチャンスコ、ティノモリ、ベラシチコ
ブルガリア：グランチャルスコ、クリボ、コパニッツァ、セディ・ドンカ、ダイチョボ、チェトボルノ、パイデュシュコ、ビチャック、ブチミッシュ、プラボ、ラチェニッツァ
クロアチア：コロー、リンジョー、ドゥルメシュ
ルーマニア：アルネルー、インヴルティタ、ジョク、スィルバ、デ・ア・ルング、バトゥタ、バルタ、ブリウル、プルタタ、ポアルガ、ホラ、ルステムー、スルバ、チュランデュ、ヘテガナ、カルシャーリ、ブラショヴェアンカ、フェデレシュル、フスル、ロマヌル、オフィツェリャスカ
ハンガリー：ヴェルブンク、ウグローシュ、オラーホシュ、ケットゥーシュ、コナースターンツ、コリカーゾー、ジドーシュ、シュリュリューエ、セーケシュ、チャールダーシュ、ツェッペル、ネーヂェシュ、ハイドゥク、ハイナリ、フォルガトーシュ、ヘイサー、ボトロー、ポントゾー、マヂャロシュ、ヤーテーク、ヤルタトーシュ、レアニータンツ、レゲーニェシュ
チェコ、スロバキア：ヴェルブンク、ソウセツカー、フリアント、ポルカ、マテニーキ
ポーランド：オベレク、クヤヴィアク、クラコヴィアク、ポロネーズ、マズルカ
ドイツ、オーストリア：ウィンナ・ワルツ、ヴェッラー、シュープラットラー、レントラー、ワルツ
フランス：ガヴォット、カドリーユ、クーラント、パスピエ、ファランドール、ブランル、ブレー、ミュゼット、メヌエット、リゴドン、ルール
イタリア：サルタレロ、シチリアーナ、タランテラ、フォルラーヌ
スペイン、ポルトガル：エル・カンディーラ、セギディーリャ、セビジャーナス、パッサカリア、ファンダンゴ、フォリア、フラメンコ、ホタ、ボレロ
イギリス、アイルランド：アイリッシュ・ダンス、エコセーズ、カントリー・ダンス、S.C.D（スコティッシュ・カントリー・ダンス）、イングリッシュ・カントリー・ダンス、ジグ、スリップ・ジグ、ソードダンス、ホーンパイプ、モリスダンス、リール
スウェーデン、フィンランド：ヴァルス、ジェンカ、ショッティス、スノア、ハンボ、ポルカ、ポルスカ、マズルカ
ロシア：ホパーク
北オセチア：ホンガ、シムド

北米

アメリカ：スクェアダンス、オクラホマミキサー、ラウンドダンス

中南米

キューバ：サルサ、チャチャ、ハバネラ、マンボ、ルンバ
トリニダード：リンボーダンス
メキシコ：ラバンバ
アルゼンチン、ボリビア：アンタワラ、カポラレス、カルナバリート、クエッカ、クジャクアーダ、サヤ、サンバ、スーリシクーリ、タンゴ、ディアブラーダ、チャカレーラ、ティンク、プフリャイ、モレナーダ、リャメラダ、ワイニョ
ブラジル：サンバ

オセアニア

ハワイ：フラ
ニュージーランド：ハカ

日本におけるフォークダンス

日本では、日本フォークダンス連盟（文部省許可団体、1956年発足）が、フォークダンスの普及に貢献しています。また、学校体育の現場においても、日本体育大学研修部などがフォークダンスの研究・実践に取り組んでいます。

この文章が、世界の豊かなフォークダンス文化に触れるきっかけとなれば幸いです。

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