ニュー・オーダー

ニュー・オーダー：ポストパンクからダンスミュージックへ、その軌跡

ニュー・オーダーは、イギリスのロックシーンに多大な影響を与えた伝説的なバンドである。その歴史は、前身バンドであるジョイ・ディヴィジョンの悲劇的な終焉から始まる。1980年、ボーカリストのイアン・カーティスの死は、バンドの活動を停止に追い込んだ。しかし、残されたメンバー、バーナード・サムナー、ピーター・フック、スティーヴン・モリスは、新たなバンド「ニュー・オーダー」を結成することを決意する。ジョイ・ディヴィジョン時代からの約束「メンバーが一人でも欠けたら、ジョイ・ディヴィジョンの名で活動をしない」を守り、バンド名を変更したのだ。

新時代の幕開けとサウンドの進化

1981年、ニュー・オーダーはファクトリー・レコードよりシングル「セレモニー」でデビュー。初期の作品は、ジョイ・ディヴィジョンの陰鬱なサウンドを受け継いでいたが、すぐにそのサウンドは変化を見せ始める。「エヴリシングス・ゴーン・グリーン」では電子音を取り入れ、エレクトロニックミュージックへの扉を開いた。この実験的なアプローチは、後にバンドのアイデンティティを決定づけることになる。1982年には、スティーヴン・モリスの恋人であったジリアン・ギルバートが正式メンバーに加わった。

1983年発表のセカンドアルバム『権力の美学』では、シンセサイザーを前面に押し出したサウンドを確立。続くシングル「ブルー・マンデー」は、大ヒットを記録し、彼らの名を世界に知らしめた。この曲は12インチ・シングルとして史上最も売れた楽曲の一つでもある。1980年代を通して、ニュー・オーダーは『ロウ・ライフ』『ブラザーフッド』『テクニーク』といった革新的なアルバムを発表し、商業的な成功も収めた。特に『テクニーク』はイビサ島でレコーディングされ、当時台頭しつつあった新しいクラブサウンドを取り入れ、世界的なヒットとなった。

ファクトリー・レコードの崩壊と活動休止

1990年代に入ると、所属レーベルであったファクトリー・レコードの崩壊により、ニュー・オーダーはロンドン・レコードに移籍。『リパブリック』を発表するものの、メンバー間の対立が表面化し、1993年のレディング・フェスティバルを最後に活動を休止した。

その後、1998年に再結成。ジョイ・ディヴィジョン時代の楽曲も演奏するようになり、新たなスタートを切った。2000年代には、ギターサウンドを前面に押し出した『ゲット・レディー』を発表。このアルバムを最後にジリアン・ギルバートが脱退、フィル・カニンガムが加入した。

解散騒動と新たな始まり

2007年、ピーター・フックがバンドの解散を宣言。しかし、残りのメンバーは活動を続けることを表明し、事実上フックは脱退した。この出来事は、ニュー・オーダーの歴史における大きな転換点となった。

ピーター・フック脱退後、バーナード・サムナーは新バンド「バッド・ルーテナント」を結成するなど、ソロ活動も精力的に行っていた。しかし、2011年、ニュー・オーダーの再結成が発表される。ピーター・フックは参加しなかったものの、ジリアン・ギルバートが復帰し、トム・チャップマンがベーシストとして加わった。

現在のニュー・オーダー

再結成後、ニュー・オーダーは活動を継続し、アルバム『ロスト・サイレンズ』『ミュージック・コンプリート』を発表。現在も世界中でライブツアーを行い、精力的に活動している。

サイドプロジェクト

メンバーは、ニュー・オーダー以外にも数多くのサイドプロジェクトに参加している。バーナード・サムナーはジョニー・マーとのユニット「エレクトロニック」で活躍し、ピーター・フックも「リヴェンジ」「モナコ」「フリーベース」といったバンドを結成した。スティーヴン・モリスとジリアン・ギルバートによるユニット「ジ・アザー・トゥー」も存在する。これらのサイドプロジェクトも、ニュー・オーダーとはまた違った魅力があり、彼らの幅広い音楽性を示している。


ニュー・オーダーは、ポストパンク、エレクトロニックミュージック、ダンスミュージックと様々な音楽性を融合させ、時代を超えて愛されるバンドとなった。彼らの音楽は、現代の音楽シーンにも多大な影響を与え続けている。 彼らの革新的な音楽性と複雑な歴史は、音楽ファンを魅了し続けるだろう。

もう一度検索