ウィームズ伯爵

ウィームズ伯爵

ウィームズ伯爵（Earl of Wemyss）は、スコットランド貴族の爵位であり、その歴史は17世紀に遡ります。初代伯爵ジョン・ウィームズが1633年に叙爵されたのが始まりで、以降、数々の人物がその名を連ねてきました。1810年以降は、マーチ伯爵と継承者を同一にしています。

歴史

伯爵家の祖であるジョン・ウィームズ（1665-1705）は、枢密顧問官や国教会総会勅使を歴任しました。彼は1625年にノヴァ・スコシアの準男爵に叙せられた後、1628年にはエルホーのウィームズ卿に昇叙。さらに1633年、ウィームズ伯爵に叙爵されるとともに、エルホー＝メシル卿の称号も授けられました。これらの爵位はすべてスコットランド貴族爵位であり、彼の男子への継承が定められていました。

しかし、2代伯爵デイヴィッド（1610-1679）は、1672年までに15人の子供に先立たれ、末娘のマーガレットのみが存命となりました。そこで彼は、爵位を一度王冠に返還し、マーガレットとその子孫に相続を許す再叙爵を受けました。デイヴィッドの死後、準男爵位は廃絶しましたが、残る爵位はマーガレットが相続しました。

その子である4代伯爵デイヴィッド（1678-1720）は、スコットランド王国とイングランド王国の合同時にスコットランド代表の一人に選ばれました。彼には長男がいましたが早世したため、爵位は次男のジェームズが継承しました。

5代伯爵ジェームズ（1699-1756）の時代には、息子のデイヴィッド（1721-1787）が1745年のジャコバイト蜂起に加担したとして私権剥奪を受けるという事件が起こりました。そのため、デイヴィッドは父の爵位を継ぐことができず、その財産は三男のジェームズが限嗣相続することとなりました。また、5代伯爵の婚姻を通じて、チャータリス家の財産が伯爵家にもたらされることとなりました。

5代伯の次男フランシス（1723-1808）は、1771年に母方の「チャータリス」の紋章と名前を用いることを許されました。彼の孫フランシス（1772-1853）は、父祖と同様にウィームズ伯爵を自称したほか、親族の第3代マーチ伯爵の死後には、その爵位の請願も行いました。そして1826年、貴族院による爵位回復の決議を受け、80年ぶりに伯爵位を取り戻しました。フランシスが1810年にマーチ伯爵とそれに付随する爵位を継承していたため、これ以降、ウィームズ伯爵とマーチ伯爵は継承者を同一にするようになりました。

フランシスは爵位回復に先立つ1821年に、新規に連合王国貴族爵位であるファイフ州ウィームズのウィームズ男爵に叙せられたため、歴代当主は自動的に貴族院の議席を得ることとなりました。

その孫にあたる8代伯爵フランシス（1818-1914）は、1881年から1910年にかけて女王ヴィクトリア及び国王エドワード7世の副官を務めました。

その直系のひ孫にあたる13代伯爵ジェームズ（1984-）が、現在の伯爵家当主です。

ウィームズ伯爵家からは、著名な人物が輩出されています。ナポレオン戦争期に活躍したウィリアム・ウィームズ将軍（1814年に陸軍大将）、第一次世界大戦を戦ったロスリン・ウィームズ海軍元帥（第12巡洋艦戦隊司令、東インド艦隊司令長官、第一海軍卿を歴任）、そしてエリザベス女王の私設秘書を務めたマーティン・チャータリスも一族の出身です。

邸宅

伯爵家の本邸は、イースト・ロージアン州ロングニドリーに位置するゴスフォード・ハウスです。他にも、スタンウェイ・ハウス、ニードパス城、エルホー城を所有しています。

現当主の保有爵位

現当主である第11代ウィームズ伯爵ジェームズ・ドナルド・チャータリスは、以下の爵位を有しています。

第11代ウィームズ伯爵
第9代マーチ伯爵
第9代ピーブルス子爵
第11代エルホーのウィームズ卿
第11代エルホー＝メシル卿
第9代ニードパス、ライン及びマナードのダグラス卿
* 第6代ファイフ州ウィームズのウィームズ男爵

歴代当主の一覧は省略します。


ウィームズ伯爵家は、スコットランドの歴史と深く結びついた名門貴族であり、その歴史は今も続いています。

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