ウィーン気質

ウィーン気質：華麗なるウィーンの響き

ヨハン・シュトラウス2世が作曲したウィンナ・ワルツ『ウィーン気質』（作品354）は、彼の代表作の一つとして名高い楽曲です。華麗で優雅な旋律は、ウィーンの文化と歴史を象徴するかのようであり、聴く者の心を掴んで離しません。

このワルツが生まれたのは1873年。オーストリア＝ハンガリー帝国皇女ギーゼラとバイエルン王子レオポルトの結婚式を祝うため、ウィーン楽友協会黄金の間で催された宮廷オペラ舞踏会での初演でした。当初はウィーン宮廷歌劇場を予定していたものの、当時の設備状況から楽友協会が会場となりました。この時、シュトラウス2世はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を初めて指揮したという歴史的な出来事にもなっています。

興味深いことに、シュトラウス2世はこのワルツに『ウィーン気質』という、皇女の婚礼とは直接関係のないタイトルを付けました。しかし、翌月にはウィーン万博の開幕が予定されており、この曲は婚礼の祝典だけでなく、万博の門出を飾る音楽としても重要な役割を果たしたのです。

『ウィーン気質』は、シュトラウス2世の「十大ワルツ」の一つに数えられており、その人気は時代を超えて世界中に広がっています。軽やかで躍動感あふれるリズム、そしてロマンティックで華麗な旋律は、多くの聴衆を魅了し続けています。

この作品は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートでも頻繁に演奏されており、毎年元旦に世界中の人々を魅了する、おなじみの楽曲となっています。歴代の指揮者たちも、この名曲を数々のニューイヤーコンサートで演奏し、その魅力を世界に発信してきました。

以下に、ウィーン・フィルニューイヤーコンサートにおける『ウィーン気質』の演奏記録の一部を挙げます。

1941年：クレメンス・クラウス指揮
1951年：クレメンス・クラウス指揮
1955年：ヴィリー・ボスコフスキー指揮
1958年：ヴィリー・ボスコフスキー指揮
1960年：ヴィリー・ボスコフスキー指揮
1971年：ヴィリー・ボスコフスキー指揮
1980年：ロリン・マゼール指揮
1984年：ロリン・マゼール指揮
1990年：ズービン・メータ指揮
2002年：小澤征爾指揮

これらの演奏記録からもわかるように、『ウィーン気質』は、時代を超えて愛され続けるウィーンを代表する名曲であると言えるでしょう。その華麗な旋律は、今もなお世界中の人々の心に響き渡っています。

参考文献

江村洋『フランツ・ヨーゼフ ハプスブルク「最後」の皇帝』東京書籍、1994年
小宮正安『ヨハン・シュトラウス ワルツ王と落日のウィーン』中央公論新社、2000年
* 加藤雅彦『ウィンナ・ワルツ ハプスブルク帝国の遺産』日本放送出版協会、2003年

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