ウェストバトンルージュ郡 (ルイジアナ州)

ウェストバトンルージュ郡の概要

ウェストバトンルージュ郡は、アメリカ合衆国ルイジアナ州の中央部に位置する郡で、州内で最も面積が小さいことで知られています。2010年の国勢調査では、人口は23,788人と報告されており、2000年の21,601人から10.1％の増加が見られました。郡庁所在地はポートアレンで、郡内で最大の人口を抱える町です。ウェストバトンルージュ郡は、特に教育制度が高く評価されています。

この郡は、バトンルージュ大都市圏の一部として、周辺地域との経済的な結びつきも強いです。

歴史

前史時代

ウェストバトンルージュ郡の歴史は、プラークミン文化まで遡ります。郡の南東部、ミシシッピ川が大きく湾曲する場所に位置するメドラ遺跡は、プラークミン文化の重要な遺産であり、この文化を定義づける上で重要な役割を果たしました。1939年から1940年にかけて、ルイジアナ州立大学と公共事業促進局の合同プロジェクトとして、ジェイムズ・A・フォードとジョージ・I・クィンビーによって発掘調査が行われました。

郡の成立

ウェストバトンルージュ郡は、1807年に設立され、当初はバトンルージュ郡と呼ばれていました。1812年に現在の名称に変更されました。

1853年には、バトンルージュ・グロステト・アンド・オペルーサス鉄道が認可され、バトンルージュ市とミシシッピ川西岸のポートアレンを結びました。蒸気渡し船「サニーサウス号」が1日に3回、川を渡り、バトンルージュ市への鉄道と接続しました。この鉄道は、西隣のアイバービル郡やポイントクーピー郡まで伸びていました。

南北戦争

南北戦争の勃発により、鉄道の延伸工事は中断されました。ウェストバトンルージュ郡では、南軍の民兵隊が組織され、シャイローの戦いやバトンルージュの戦いなどに参加しました。鉄道は、1862年5月に北軍がバトンルージュを占領するまで運行され、サトウキビや綿花を輸送するとともに、南軍の兵士も輸送しました。

北軍によるバトンルージュ占領後、鉄道の車両は西端に移動され、戦争中はそこに保管されました。また、多くの市民が郡内に避難しました。サラ・モーガンは、バトンルージュの戦いの前に、ウェストバトンルージュ郡の堤防下に南軍の装甲砲艦CSSアーカンソーが停泊しているのを目撃しています。CSSアーカンソーは、戦いの際に推進機関の故障により座礁し、乗組員によって焼却処分されました。

1864年、レッド川方面作戦で失敗した北軍部隊が、ウェストバトンルージュ郡のローズデール道路を通ってニューオーリンズに帰還しました。また、南北戦争の終盤には、豪雨により堤防が決壊し、地域が水没する事態も発生しました。この時期には、組織化されていないゲリラ部隊が出没し、住民や北軍の船舶を攻撃するという問題も発生しました。

南北戦争後

南北戦争後、ウェストバトンルージュ郡を含むルイジアナ州南部では、砂糖産業が壊滅的な打撃を受けました。北軍の支配により、砂糖製品を市場に運ぶことができず、農作物も収穫されないまま放置されました。多くの砂糖プランテーションは、北部の資本家の手に渡りました。ウェストバトンルージュ郡でも、多くのプランテーションが保安官事務所によって売却されました。

バトンルージュ・グロステト・アンド・オペルーサス鉄道は、戦後に運行を再開しましたが、農業の衰退により経営難に陥り、1883年に運行を停止しました。その後、ルイジアナ中央鉄道が路線を取得しましたが、1902年に運行を終了しました。1871年には、テキサス・アンド・パシフィック鉄道が郡内を通過し、郡南部のアディスに中継点が設けられました。

20世紀

20世紀に入ると、1912年に大規模な洪水が発生し、郡内の広い範囲が被害を受けました。テキサス・アンド・パシフィック鉄道は、後にミズーリ・パシフィック鉄道と合併し、さらにユニオン・パシフィック鉄道の一部となりました。20世紀初頭には、サザン・パシフィック鉄道が郡内に支線を建設しましたが、1920年代に廃線となりました。

1906年から1947年まで、ミズーリ・パシフィック鉄道は、ミシシッピ川を渡る鉄道フェリー「ジョージ・H・ウォーカー」を運行しました。1947年にヒューイ・P・ロング橋が完成したことで、このフェリーの役目は終わりました。1943年から1946年半ばには、郡内に戦争捕虜収容所が設置され、ドイツ人捕虜がプランテーションの労働力として利用されました。

郡政府と地理

ウェストバトンルージュ郡は、郡政委員会によって統治されています。保安官事務所は、ポートアレンの郡庁舎にあり、刑事事件と民事事件の両方を扱っています。郡の面積は204平方マイルで、そのうち陸地が191平方マイル、水域が12平方マイルです。

郡の地形的な特徴としては、東側を流れるミシシッピ川が最も重要です。この川の堤防が、郡を洪水から守っています。ウェストバトンルージュ郡は、アチャファライア川国立歴史遺産地域の一部でもあります。

主要な高規格道路としては、州間高速道路10号線、アメリカ国道190号線、ルイジアナ州道1号線があります。これらの道路は、ヒューイ・P・ロング橋とホレス・ウィルキンソン橋を通じて、イーストバトンルージュ郡と結ばれています。

人口動態と都市

ウェストバトンルージュ郡には、アディス、ブラスリー、ポートアレンなどの都市や町があります。ポートアレンは、郡庁所在地であり、郡内で最大の町です。

教育

ウェストバトンルージュ郡の公立学校は、ウェストバトンルージュ郡教育委員会によって運営されています。また、カトリック系のホリー・ファミリー学校という私立学校もあります。

著名な住人

ウェストバトンルージュ郡出身の著名人としては、ブルースシンガーでハーモニカ奏者、ギタリストのスリム・ハーポがいます。

まとめ

ウェストバトンルージュ郡は、その豊かな歴史と地理的な特徴を持つ郡です。プラークミン文化から南北戦争、そして現代に至るまで、様々な出来事がこの地に刻まれています。教育制度の高さや、バトンルージュ大都市圏の一員としての役割も注目に値します。

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