ウェストランド シーキング

ウェストランド シーキング（Westland Sea King）

ウェストランドシーキングは、1960年代にイギリスのウェストランドエアクラフトが製造した対潜ヘリコプターであり、アメリカのシコルスキーS-61のライセンス生産機として知られています。主にイギリス海軍での対潜任務に用いられましたが、幅広い用途に対応できる機体として、救難や兵員輸送、さらには既存機から改造された早期警戒機としての使用も行われました。また、ヨーロッパ、中東、インドなど他国にも輸出され、その性能を認められました。

概要

イギリスは、対潜ヘリコプターとしてS-61の導入を決定した際、まずアメリカから4機のSH-3Dを輸入し、これをベースに独自の開発を行いました。初号機は1969年5月7日に初飛行を迎え、以降はエンジンや電子機器などに国産部品を使用し、さらに胴体の背部には洋上探索レーダーを装備することで、SH-3Dよりも優れた性能を示しました。1970年代にはイギリス空軍もこの機体を救難機として採用し、需要が高まりました。特に、フォークランド紛争や湾岸戦争などでは、実戦でもその役割を果たしました。

21世紀に入ると、次世代のヘリコプターであるマーリンが導入されるタイミングでシーキングは徐々に退役が進み、イギリス空軍では救難任務が民間に委託されたため、運用が終了しました。しかし、2022年には、イギリス政府が退役機の中から3機をウクライナに供与することを発表し、その勢力を維持し続けています。

早期警戒型（シーキング AEW）

フォークランド紛争中、イギリス海軍は艦載用の早期警戒機が不足している状況に直面しました。このため、急遽シーキングを早期警戒機型に改装し開発を始めました。2機の改装が短期間で艦隊に配備されましたが、実戦には間に合いませんでした。改良された機体には、地上において折りたたむことができるレドームが装備され、360度の探索能力が構築されています。これにより、戦闘機に相当する目標が数十キロメートル先でも探知可能となりました。

輸送型（コマンドー）

輸送型は「コマンドー」と呼ばれ、中東諸国向けに特別に設計されました。初期モデルでは対潜型の機体を簡素化したものですが、改良型では主脚が強化され、兵装やテクノロジーが追加されるなどして、多様な任務に対応できるようになりました。また、イギリス海軍でも海兵隊の支援のために利用されています。

派生型

シーキングは多くの派生型が存在し、HAS.1から始まり、様々な任務に応じた改良機が開発されました。各バージョンは異なる機能や性能を持ち、様々な国のニーズに応じて使用されました。特に、電子装備や対空能力を強化したバージョンも存在し、その多用途性が特徴です。

採用国と運用状況

現在、シーキングはエジプトやインド、ノルウェー、パキスタンなどで現役運用されています。一方、イギリスやオーストラリアなどの国々ではすでに運用を終了し、退役した機体の中にはウクライナに供与されたものもあります。

このように、ウェストランドシーキングは長きにわたり多岐にわたる任務を遂行し、その特異な設計と性能から、世界中の航空機市場で高い評価を受け続けています。

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