ウェストランド ワスプ

ウェストランドワスプの概要

ウェストランド ワスプ（Westland Wasp）は、イギリスのウエストランド・ヘリコプターが設計･製造したヘリコプターであり、主にイギリス海軍の中距離魚雷投射用機として用いられました。この機体は、特に対潜戦や水上攻撃の役割を果たすために開発され、1960年代から安全な運用が行われていました。

来歴

ウェストランド ワスプの開発は、イギリス海軍の長射程対潜兵器の必要性から始まりました。ルイス・マウントバッテン第一海軍卿は、177型ソナーに対応できるヘリコプターによる魚雷投射に期待していました。これは、潜水艦の探知から急速かつ効果的に攻撃を行う能力を持っており、戦術的にフリゲート艦の運用を柔軟にするものでした。

開発の初期段階では、フェアリー社のウルトラライト・ヘリコプターが注目を集め、実験運用においては好成績を収めました。しかし、より大型で能力の高いヘリコプターの必要性が浮上し、サンダース・ロー社が開発を始めることとなりました。最初のプロトタイプは1958年に初飛行、その後量産型が開発されて1961年にイギリス海軍において正式採用されました。

設計と性能

ウェストランド ワスプは、基本設計がスカウトAH.Mk.1に類似している一方で、艦上運用を考慮した改良が施されました。特にテールブームを折りたたみ式に設計した点や、降着装置を4輪式に変更したことが挙げられます。また、エンジンはブリストル・シドレー ニンバスシリーズのものが使われ、出力が向上しました。

機体は、通常2名の乗員で運用され、全長12.29メートル、全高3.56メートル、ローター直径9.83メートルという寸法を持っています。最大離陸重量は2,495キログラムで、703馬力のターボシャフトエンジンが搭載されています。最高速度は193 km/hであり、巡航速度は177 km/h、航続距離は488 kmです。

運用状況

ウェストランド ワスプは、イギリス海軍において1963年から様々な任務を遂行しました。特に1982年のフォークランド紛争では、潜水艦「サンタフェ」に対して直接攻撃を行い、その記録が残されています。このように、ワスプは戦闘任務において重要な役割を果たしました。

また、ワスプは平時にも多くの国に中古機が供給され、ブラジル、オランダ、ニュージーランド、インドネシア、マレーシアなど様々な国で使用されました。これにより、合計で133機が生産され、イギリス海軍では98機が運用されました。特にニュージーランド海軍は、1980年代を通して多くの任務でこの機体を使用しました。

最後に

ワスプは1988年、イギリス海軍の運用が終了し、引退を迎えました。その後、オークランドやクライストチャーチの博物館において、歴史的な価値を持つ機体として保存されています。ウェストランド ワスプは、現代の軍用ヘリコプターの発展に寄与する重要な存在であったと言えるでしょう。

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