ウェルシュケーキ

ウェルシュケーキ：ウェールズの伝統的なスイーツ

ウェルシュケーキ（Welsh cake）は、ウェールズの文化に深く根付いた伝統的な菓子です。ウェールズ語では「ピカーラマイン」（picau ar y maen）や「カーケン・グリ」（cacen gri）など、複数の呼び名があります。この美味しいお菓子の起源は古く、19世紀末にはすでに広く愛されていました。

ウェルシュケーキの特徴

ウェルシュケーキは、小麦粉、バターまたはラード、鶏卵、砂糖、シナモン、ナツメグ、さらにはカラント（小粒のレーズン）を使って作られます。これらの材料を混ぜ合わせ、直径4〜6cm、厚さ約1.5cmの円盤状に成形し、特にウェールズで使用される「ベイクストーン」と呼ばれる厚い鋳鉄製の鉄板で焼きます。このベイクストーンは、火に直接置いて加熱するため、独特の風味が出るのが特徴です。

焼き上がったウェルシュケーキは、温かいうちに上白糖をまぶして提供されることが一般的です。スコーンのようにジャムやクリームを添えて食べることはあまりありませんが、時折二つに割ってジャムやバターを挟んだものが販売されています。特に紅茶と一緒に楽しむのが通例です。

ちなみに、ウェールズの一部地域では、ウェルシュケーキが異なるバージョンで作られており、甘みが少なく大きいものも存在します。

バリエーション

ウェルシュケーキにはいくつかのバリエーションがあり、それぞれ独自の特徴を持っています。以下は主なものです：

1. セホ・キムリーグ（Llech Cymreig）
ベーキングパウダーや全粒粉を使うことで、カリッとした食感の平たいケーキに仕上がります。厚いベイクストーンや天板を使用して焼かれることが多いため、この名前が付いています。

2. ジャムスプリット（Jam Split）
南ウェールズで人気のこのバリエーションは、ウェルシュケーキを水平にスライスし、ジャムやバターをサンドイッチのように挟んだものです。

3. アップルドラゴン（Apple Dragon）
生地におろしたリンゴを混ぜ込むことで、時間が経ってもしっとりとした食感が保たれる特徴があります。

4. ザ・ニューポート・ラヴリー（The Newport Lovely）
ニューポート出身の男性たちが、婚約者や花嫁への贈り物として作る手作りのウェルシュケーキです。

5. マネズ・キムリーグ（Mynydd Cymreig）
「ウェールズの山」という意味を持つこのお菓子は、北ウェールズで作られ、ベーキングパウダーを倍にしてふくらませ、スノードニアの美しい山々を模して粉糖を薄くまぶします。

6. ザ・キーウィ・ケーキ（The Kiwi Cake）
ウェールズ人の入植者がニュージーランドに持ち込んだウェルシュケーキで、現地でこの名で親しまれています。

ウェルシュケーキはその独特な風味と様々なバリエーションにより、世代を超えて親しまれる存在となっています。もしウェールズを訪れた際には、ぜひ本場のウェルシュケーキを味わってみてください。

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