ウェーク (砲艦)

ウェーク (USS Wake, PR-3)

ウェークは、アメリカ海軍の河川砲艦であり、その艦歴は波乱に満ちています。艦の名前は就役当初はグアム（USS Guam, PG-43）でしたが、1941年1月の改名を経てウェークとなりました。日本との戦争が始まる直前の12月8日、同艦は上海の黄浦江にて日本軍に降伏しました。つまり、ウェークは第二次世界大戦中に降伏した唯一のアメリカ海軍艦船となったのです。

艦歴の始まり

ウェークは1927年に上海の江南造船所で進水し、同年末には就役しました。グアムは、初期の任務として自国民や外国人の保護を行い、同時に日本の動向を探る役割を担っていました。その任務の中で、特に重視されたのが「揚子江パトロール」であり、日中戦争の勃発に伴い、日本の脅威が増す中で、艦艇の護衛を受けるようになりました。

名称の変更

1941年の初め、グアムからウェークへと改名されることが決定しました。新たに任命された艦長コロンブス・ダーウィン・スミスには、わずか14人の乗員が残され、艦の状態は非常に危うくなっていました。12月7日には、日本軍からの降伏勧告が行われ、翌日にはスミス艦長が捕虜となる事態に陥ります。

日本軍への降伏

12月8日未明、日本の攻撃が始まった際、スミス艦長は急いで艦に戻りましたが、対日本軍の圧倒的な戦力を前に、最終的に降伏の道を選ぶことになりました。朝日新聞の報道によると、スミス艦長は降伏勧告の文書を見ただけで降伏を決意したとされています。これにより、ウェークはアメリカ海軍の艦艇として最後の降伏を迎えました。

後の運命

降伏後、ウェークは日本に拿捕され、多多良と改名されました。艦名は元寇に由来するもので、再び日本海軍の一翼を担うこととなりました。多多良の艦内には神社が設けられ、同艦は日本海軍という新しい立場で戦闘に参加しました。1944年には第二十四砲艦隊の旗艦となるなど、戦局に翻弄されながらも一定の活躍を見せました。

終戦後とその後

終戦後、多多良は中華民国海軍に接収され、艦名は再び福州（RCS Tai Yuan）とされました。しかし、国共内戦の影響で1949年に人民解放軍に投降、その後中華民国空軍の攻撃を受けて沈没しました。こうしたドラマティックな経歴を通じて、ウェーク（多多良）は戦争の様々な側面を象徴する艦艇となりました。

このように、ウェークは単なる軍艦に留まらず、歴史の中で様々な運命を辿った艦艇であり、その存在は記憶に残り続けています。

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