中華民国海軍

中華民国海軍：台湾海峡の守護者

中華民国海軍は、台湾（中華民国）の防衛を担う海軍組織です。1911年の辛亥革命後、清国海軍を継承して誕生しました。国共内戦での敗北後、1949年から台湾を拠点として活動しており、「台湾海軍」と呼ばれることもあります。

主要任務と現状

21世紀初頭の中華民国海軍の主要任務は、台湾とその周辺島嶼、そしてシーレーン（海上交通路）を、中国人民解放軍海軍からの攻撃や侵入、封鎖から守ることです。日本の海上保安庁に相当する海巡署が海上警察業務を担っており、海軍は純粋に軍事任務に集中しています。

主な作戦活動は台湾海峡とその周辺海域における哨戒です。これは、中国による台湾孤立化への圧力や、中国の海洋進出への対応として、極めて重要な役割を担っています。そのため、自国での軍艦建造や東部海域での作戦能力強化に力を入れています。艦艇にはROCS（Republic of China Ship）の接頭語が付けられています。

また、他国の海兵隊に相当する海軍陸戦隊も保有しています。

歴史：激動の時代を生き抜く

中華民国海軍の歴史は、激動の中国の歴史と深く関わっています。建国直後は清国海軍の資産を継承し、その後は軍閥割拠や列強の干渉など、数々の困難を経験しました。第一次世界大戦では戦利艦を獲得する一方、1920年の尼港事件のように、国際紛争にも巻き込まれました。

北伐成功後の1928年には海軍部が設立され、大規模な造船計画も進められました。しかし日中戦争では、日本軍の攻撃により壊滅的な被害を受け、大型艦艇の大半を失いました。汪兆銘政権下の「和平建国軍海軍」も存在しましたが、規模が小さく、目立った活躍はありませんでした。

1945年の日中戦争終結後、日本から多くの艦船を接収し、アメリカやイギリスからも艦艇の供与を受け、海軍再建を図りました。しかし、国共内戦の再発により、多くの軍人が共産党に寝返る事件（重慶号事件など）が発生し、台湾撤退を余儀なくされました。

朝鮮戦争勃発後、アメリカ合衆国は中華民国への支援を強化し、第7艦隊を派遣して中国への圧力をかけました。蔣介石は中国大陸への反攻を目指しましたが、中国の核兵器保有を機に、大陸反攻は事実上断念されました。

1971年の国連代表権喪失やアメリカとの断交を経て、中華民国は軍事戦略を攻勢から「攻守一体」へと転換しました。その後もアメリカへの依存度が高く、アメリカからの供与はしばしば型落ちの艦艇や兵器でした。しかし、冷戦終結後、中国の台頭を受け、イスラエルやフランスなど、アメリカ以外の国からの装備導入も開始しました。

21世紀：現代化と新たな挑戦

21世紀に入り、中華民国海軍は中国人民解放軍海軍による台湾封鎖や侵攻への対処を主要任務としています。台湾の地理的条件から海軍の重要性はますます高まっており、アメリカからの退役艦艇の取得や艦隊増強、兵器更新を継続しています。

老朽化した潜水艦については、2017年から国産化を進めており、2020年には最初の艦が着工しました。また、沱江級コルベットの量産も進めています。これらの取り組みは、国家安全保障の強化に大きく貢献するものです。

組織

中華民国国防部海軍司令部の下、艦隊指揮部、基地指揮部、陸戦隊指揮部、支援部隊、教育機関などが組織されています。

装備

中華民国海軍は、潜水艦、駆逐艦、フリゲート、コルベット、ミサイル艇、揚陸艦、補助艦艇など多様な艦艇を運用しています。航空機、地[[対艦ミサイル]]なども保有しており、近年は国産化や近代化改修にも力を入れています。

将来計画

現在、中華民国海軍は、新型フリゲート、潜水艦、揚陸艦などの建造、既存艦艇の性能向上、新型兵器の導入など、多岐にわたる計画を進めています。これらの計画は、台湾の安全保障を確保するための重要な取り組みです。

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