ウォッシュトノー郡 (ミシガン州)

ミシガン州ウォッシュトノー郡：歴史、文化、そして現代

ミシガン州南東部、ロウアー半島に位置するウォッシュトノー郡は、2020年時点で約37万2458人の人口を擁する地域です。郡庁所在地であるアナーバー市は、郡内最大の都市として知られています。デトロイト・ウォーレン・フリント広域都市圏に属し、ミシガン大学をはじめ、東ミシガン大学、ウォッシュトノー・コミュニティカレッジ、コンコーディア大学アナーバー校、さらにトマス・M・クーリー法科大学のアナーバー・キャンパスなど、数多くの高等教育機関が立地しています。このため、活気ある学術都市としての側面も併せ持っています。

歴史：交易路から学術都市へ

ウォッシュトノー郡の歴史は、古くはヒューロン川沿いのポタワトミ族やポンティアック族の交易路として始まりました。フランス人交易業者、イギリス人、そしてアメリカ人開拓者たちがこの地を訪れ、交易や開拓が進められました。1809年には、現在のイプシランティにフランス人交易業者による最初の開拓地が設立され、成功を収めています。

1822年、ミシガン準州政府によって郡の領域が設定されましたが、当初はウェイン郡の一部として扱われていました。1826年に独立した郡となりましたが、行政上の都合で1829年までウェイン郡に付設されていました。1829年に郡政府が設立されて以降、インガム郡などの新たな郡がウォッシュトノー郡から分離して設立されました。

郡内の沼沢地の排水事業により、農地開発が進みました。かつて広大な沼沢地であった地域は、現在でも一部が残されています。農業の発展は、鹿の生息数の増加にも繋がり、豊かな自然環境が形成されました。1820年代から1830年代にかけては、ギリシャ独立戦争の影響を受け、ギリシャ復古調の建築物が建てられ、郡区や町の名前にもギリシャ風の名称が用いられました。

1835年には、アナーバーにおいて「フロストビッテン憲法会議」が開催されました。これは、1835年から1836年にかけて発生したトレド戦争（ミシガン準州がトレドの帯状地領有を諦め、その代わりにアッパー半島の大半を獲得した領土紛争）の解決に大きく関わっています。ミシガン準州は1837年1月26日に州に昇格し、1839年には、アナーバーが州都に選ばれなかったことへの補償として、1817年にデトロイトに設立されていたミシガン大学がアナーバーに移転されました。ミシガン大学は、現在に至るまで郡内最大の雇用主であり続けています。また、1849年には、現在の東ミシガン大学であるミシガン州立師範学校がイプシランティに設立されました。

地理：多様な地形と交通網

アメリカ合衆国国勢調査局によると、ウォッシュトノー郡の総面積は722.53平方マイル（約1,871.3平方キロメートル）で、そのうち約1.74％が水域です。郡内には、州間高速道路94号線、アメリカ国道12号線、アメリカ国道23号線、ミシガン州道14号線、17号線、52号線、153号線など、主要な道路網が整備されています。これらの道路は、郡内各地を効率的に接続し、経済活動の活性化にも貢献しています。

ウォッシュトノー郡は、北にリビングストーン郡とオークランド郡、北東にオークランド郡、東にウェイン郡、南東と南にモンロー郡、南西にレンアウェイ郡、西にジャクソン郡、北西にインガム郡と隣接しています。

人口動態と行政区分

ウォッシュトノー郡は、20の郡区に分割されています。ウェイン郡から分離して設立されたウォッシュトノー郡は、アメリカ国内でこの名称を持つ唯一の郡です。人口増加に伴い、郡区が形成され、集落が発展して村や都市へと成長していきました。一部の郡区は、チャーター郡区としての地位を選択しています。郡政府は、郡監獄の運営、地方道の維持、地方裁判所の運営、重要記録の管理、公衆衛生規制、社会サービスなど、幅広い業務を担っています。ただし、ミシガン州では、警察・消防、建設・区画割、税評価、街路維持などは、個々の都市と郡区の責任となっています。

公園とレクリエーション：自然と都市の調和

ウォッシュトノー郡は、10の公園と1つのレクリエーションセンターを運営しています。公園には、子供向けの水遊び施設、ウォーターパーク、ゴルフコースなどが整備されています。レクリエーションセンターには、屋内プール、トラック、バスケットボールコート、フィットネス機器などが備えられています。さらに、郡は自然保護活動にも力を入れており、生態系保護、レクリエーション、教育を目的とした土地の取得を進めています。

無線通信：未来への投資

ウォッシュトノー郡は、民間企業と協力して無線ネットワークを整備し、郡民の約50％が利用できるようになっています。この「ワイアレス・ウォッシュトノー計画」は、最終的に郡民全員へのサービス提供を目指しています。

まとめ：教育、歴史、そして自然

ウォッシュトノー郡は、ミシガン大学をはじめとする教育機関の集積、豊かな歴史、そして広大な自然空間を擁する魅力的な地域です。発展を続ける都市部と自然が調和した環境は、人々の暮らしを豊かに彩っています。将来も、教育、文化、そして自然環境の保全に力を入れていくことで、さらに発展していくことが期待されます。

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