ウォルター・デニング

ウォルター・デニングの生涯：宣教師、教育者、ジャーナリストとしての足跡

ウォルター・デニング（Walter Dening, 1846年7月23日 - 1913年12月5日）は、イギリス出身のキリスト教宣教師であり、教育者、ジャーナリストとしても活躍した人物です。彼は激動の時代の中、日本においてキリスト教の伝道、教育、そして報道活動を通じ、大きな影響を与えました。

生い立ちと宣教師としての出発

デニングは1846年、イングランドのデヴォン州で生まれました。英国聖公会宣教協会に所属し、宣教師としての道を歩み始めます。マダガスカルでの活動を経て、1873年、彼は日本へと派遣されました。長崎で日本語を学んだ後、1874年には北海道の函館へ渡り、そこで初めて伝道活動を開始しました。

北海道での伝道活動

函館での活動を皮切りに、平取、札幌へと活動範囲を広げました。特に札幌では、札幌農学校（現在の北海道大学）の学生たちを洗礼するなど、キリスト教の普及に尽力しました。しかし、デニングは霊魂不滅説に異を唱えたため、イギリス本国から解任されるという事態に直面しました。

教育者としての転身

解任後、デニングは活動の拠点を東京に移し、教育者としての新たなキャリアをスタートさせます。慶應義塾、東京師範学校、成立学舎、学習院、海軍省など、名だたる教育機関で教鞭を執りました。また、文部省では教科書編纂にも携わり、日本の英語教育の発展にも貢献しました。この時期、デニングはジャーナリストとしても活動し、「ジャパン・ガゼット」や「ジャパン・メイル」などの新聞社で報道活動にも関わりました。

第二高等学校での教鞭と晩年

一時オーストラリアへ渡り農園経営にも挑戦しましたが、1895年に日本へ帰国し、仙台の第二高等学校で英語教師として再び教壇に立ちました。晩年は「ジャパン・クロニクル」などでも活動し、ロンドン・タイムズの通信員も務めました。1913年に心臓麻痺で亡くなり、仙台でその生涯を閉じました。

デニングの人物像と業績

デニングは、トーマス・カーライルを尊敬し、その影響を受けていたと言われています。身長が高く肥満体であったため、第二高等学校の生徒から「臀肉」とからかわれたという逸話も残っています。彼は英国式を貫き、和食は一切口にしなかったとされます。

彼は日本の良い面だけでなく、事実をありのままに批評する姿勢から、外国人からの信頼を得ていました。また、条約改正に反対するなど、強い信念を持つ人物でもありました。

デニングの家族

デニングは二度の結婚をしており、最初妻ヴィクトリア・クロゴンとの間に複数の子供をもうけました。後妻リジア・ノルマンとの間には、駐日英国大使となるエスラー・デニングをはじめとする子供がいます。彼の家族もまた、国際的な舞台で活躍しました。

デニングの著書と栄典

デニングは、『伝仁演説集』や『真道総論』など多くの著書を残しました。特に『和文英訳軌範』や『English Readers: The High School Series』は、当時の英語教育に大きな影響を与えました。その功績から、勲五等双光旭日章、勲四等瑞宝章を授与されています。

まとめ

ウォルター・デニングは、宣教師、教育者、ジャーナリストとして、多岐にわたる分野で活躍した人物です。彼の日本での活動は、異文化間の理解を深め、国際交流を促進する上で重要な役割を果たしました。彼の生涯は、困難に立ち向かいながらも、信念を貫き通すことの大切さを教えてくれます。また、彼の残した功績は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索