ウォルト・フレイジャー

ウォルト・フレイジャー：ニューヨークを彩った伝説のポイントガード

ウォルト・フレイジャー・ジュニアは、1945年生まれ、ジョージア州アトランタ出身の元プロバスケットボール選手です。NBAのニューヨーク・ニックスとクリーブランド・キャバリアーズで活躍し、リーグを代表するポイントガードとして名を馳せました。その功績は多岐にわたり、1996年にはNBA50周年記念の「50人の偉大な選手」、2021年には「75人の偉大な選手」に選出されています。愛称は「クライド」で、そのスタイリッシュなプレイスタイルとファッションセンスで多くのファンを魅了しました。

学生時代からNBAへ

フレイジャーは高校時代、バスケットボールだけでなく野球やアメリカンフットボールもプレイするスポーツ万能な選手でした。大学進学後はバスケットボールに専念し、南イリノイ大学カーボンデール校を1966年のNITトーナメント優勝に導く活躍を見せます。その才能はスカウトの目に留まり、1967年のNBAドラフトでニューヨーク・ニックスから1巡目全体5位で指名され、NBAの世界へと足を踏み入れました。

ニューヨーク・ニックスでの輝かしい時代

NBA1年目はまずまずの成績でしたが、2年目からフレイジャーは才能を開花させます。ウィリス・リードらと共にチームの中心選手として活躍し、ディフェンス能力に加え、得点力も年々向上。4年目にはチームトップの平均得点を記録するまでに成長しました。ニックスは1970年、1972年、1973年とNBAファイナルに進出し、そのうち1970年と1973年の2度、優勝を果たしました。フレイジャーはニックスの黄金時代を支えた立役者の一人です。

キャバリアーズへの移籍と引退、そして解説者へ

ウィリス・リードの衰えなどもあり、ニックスはその後優勝から遠ざかります。フレイジャーは1977年にクリーブランド・キャバリアーズへ移籍し、3シーズンプレイした後、現役を引退しました。引退後は解説者として活動し、その独特の語り口は「Clyde-isms」(クライドイズム)と呼ばれ、多くのファンを楽しませています。1987年にはバスケットボール殿堂入りを果たし、その功績が改めて讃えられました。

輝かしい業績

フレイジャーは、オールディフェンシブチームに1969年から7年連続で1stチームに選出され、オールNBAにも1970年から6年連続で選出されるなど、数々のタイトルを獲得しています。また、オールスターにも1970年から7年連続で選出され、1975年のオールスターではMVPを受賞しました。生涯通算得点は15,581点、アシスト数は5,040本を記録しています。特にアシスト数はニックスの歴代1位であり、そのゲームメイク能力の高さを物語っています。

ニックス時代の背番号10は、1979年12月15日にニックスの永久欠番となり、フレイジャーの功績は永遠に語り継がれることとなりました。

ファッションアイコンとしての側面

フレイジャーは、ファッションセンスにも優れており、「スポーツ・イラストレイテッド」や「GQ」などの雑誌の表紙を飾り、人気を集めました。1970年からプーマの靴を愛用するようになり、1973年には「プーマ・バスケット」を原型にしたシグネチャーモデル「クライド」が作られました。これは、アスリートのシグネチャーモデルの先駆けとして、スポーツ界とファッション界に大きな影響を与えました。

ウォルト・フレイジャーは、バスケットボール選手としてだけでなく、ファッションアイコンとしても、時代を彩った人物として記憶されています。

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