ウォーバッシュ鉄道

ウォーバッシュ鉄道について

ウォーバッシュ鉄道（Wabash Railroad、略称WAB）は、アメリカ合衆国の中西部に位置する一級鉄道で、旅客と貨物の輸送を行っていました。この鉄道はオハイオ州、インディアナ州、イリノイ州、アイオワ州、ミシガン州、ミズーリ州、さらにはカナダのオンタリオ州にまで路線を広げており、シカゴ、カンザスシティ、デトロイト、バッファロー、トレドなどの主要都市にも乗り入れていました。特にその社紋にデザインされた旗（バナー）は有名で、鉄道のアイコンともなっています。運行されていた列車には夜行列車の他、シカゴとセントルイスを結ぶ昼行列車もありました。また、ウォーバッシュ鉄道の貨物運輸の大きな利点は、シカゴやセントルイスを通らずにカンザスシティとデトロイトを直結できたことです。

歴史

ウォーバッシュ鉄道の原型は、トレド・アンド・イリノイ鉄道とレイクエリー・ウォーバッシュ・アンド・セントルイス鉄道にあります。前者は1853年4月20日にオハイオ州からインディアナ州へ向かう鉄道路線として設立され、後者はインディアナ州境を越えてセントルイスに至る路線として同年8月19日に設立されました。これら二つのは1856年8月に統合され、「トレド・ウォーバッシュ・アンド・ウエスタン鉄道」と呼ばれる会社が設立されることとなりました。しかし、この新しい会社はすぐに倒産し、競売にかけられる運命に。1858年に新たに設立されたトレド・アンド・ウォーバッシュ鉄道とウォーバッシュ・アンド・ウエスタン鉄道が、オハイオ州とインディアナ州のそれぞれの路線を取得。10月15日には両社が合併し、「トレド・アンド・ウォーバッシュ鉄道」となります。この会社も数度の買収や再編を経て、1889年8月1日にウォーバッシュ鉄道として法人名を改めました。

1904年には、ホイーリング・アンド・レイクエリー鉄道を買収し、会社はピッツバーグまでの路線を獲得しましたが、この拡張政策は失敗に終わり、1915年には再び競売にかけられてしまいます。その後、再編成されたウォーバッシュ鉄道は1927年にペンシルバニア鉄道の傘下に入ることに。これに関しては反トラスト法上の問題が懸念されましたが、最終的には司法からの判断により法律違反ではないとされました。大恐慌の影響により、会社は再度経営不振に陥り、1931年に債権者の手に渡りました。1941年にはペンシルバニア鉄道に完全に買収され、その後は子会社として存続することとなりました。

1960年代に入ると、ペンシルバニア鉄道はウォーバッシュ鉄道の路線をノーフォーク・ウエスタン鉄道にリースする合意に至り、1964年にこのリースが実行されます。その後、ウォーバッシュ鉄道はノーフォーク・ウエスタン鉄道の子会社として位置づけられ、1982年にはノーフォーク・サザン鉄道の子会社へと移行します。そして1991年、ついにノーフォーク・サザン鉄道に完全に吸収されることになります。

主要な旅客列車

ウォーバッシュ鉄道では、さまざまな旅客列車が運行されていました。その中でも有名なのが以下の列車です：

- ウォーバッシュ・キャノンボール: シカゴ - デトロイト（昼行列車）
- レッドバード: シカゴ - デトロイト（昼行列車）
- シカゴアロー: デトロイト→シカゴ（昼行列車）
- デトロイトアロー: シカゴ→デトロイト（昼行列車）
- ミッド-シティエクスプレス: シカゴ - デトロイト（夜行列車）
- バナーブルー: シカゴ - セントルイス（昼行列車）
- ブルーバード: シカゴ - セントルイス（昼行列車）
- ミッドナイト: シカゴ - セントルイス（夜行列車）
- デトロイト・アンド・セントルイス・スペシャル: デトロイト - セントルイス（昼行列車）
- デトロイト・アンド・セントルイス・リミテッド: デトロイト - セントルイス（夜行列車）
- シティ・オブ・セントルイス: ユニオン・パシフィック鉄道からの乗り入れ列車

このようにウォーバッシュ鉄道は、長い歴史の中で多様なサービスを提供していました。

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