ウォールズ・オブ・ジェリコ (アルバム)

ウォールズ・オブ・ジェリコの概要

『ウォールズ・オブ・ジェリコ』（Walls Of Jericho）は、1985年12月にリリースされたドイツのヘヴィメタルバンド、ハロウィンの初フルアルバムです。このアルバムは、彼らの音楽スタイルにおいて転機となる作品であり、後にメロディック・パワー・メタルと呼ばれるジャンルの先駆けとなりました。また、アルバムタイトルは旧約聖書『ヨシュア記』に登場する「ジェリコの壁」に由来しています。

オリジナル版はノイズ・レコード、そして日本版はビクターエンタテインメントからリリースされ、アルバム発売後の1989年には『ハロウィン／ウォールズ・オブ・ジェリコ／ジューダス』という企画アルバムがリリースされ、その中には初期の楽曲が集められました。

音楽的スタイルの変化

前作『Helloween』ではスラッシュメタルの影響が強かったハロウィンですが、『ウォールズ・オブ・ジェリコ』では叙情性を強調したメロディックなスタイルにシフトしました。これにより、後に多くのバンドに影響を与えることとなるメロディック・パワー・メタルの特色が確立されました。プロデューサーのマイケル・ヴァイカートは、イギリスのバンド・マリスの影響を受けたことをインタビューで明かしています。

このアルバムはドイツ国内で約11万枚を売り上げ、同国のメタルシーンにおいてアクセプトと並ぶヒット作となりました。ヴァイカートは当時、アルバム制作に専念するために音楽関連の職を辞め、その後元職場でサインを行うために出向いた際、制作に対する真剣な姿勢を見せていました。

ジャケットとキャラクターの背景

アルバムのジャケットは、ハロウィンのマスコット「Fang Face」が城を打ち砕いているイラストデザインが採用されており、これはヴァイカートによるものです。しかし、後に彼はこのデザインをアイアン・メイデンのキャラクターと似ていることから嫌悪を込めて避けるようになります。その後、「Fang Face」はハンセンが結成したバンドGamma Rayの作品にも再登場し、人気を博しています。

収録曲の詳細

アルバムにはいくつかの特徴的なトラックがあります。「ウォールズ・オブ・ジェリコ」はオーケストラ風のインストゥルメンタルで、リスナーを次の曲へとスムーズに導いています。続く「ライド・ザ・スカイ」や「レプタイル」は、多くのライブでも頻繁に演奏される人気曲です。

特に「レプタイル」では、巨大化した爬虫類による人類の滅亡をテーマにした奇抜な内容が話題となり、アルバムの中でも際立っています。また、「ファントムズ・オブ・デス」や「ガーディアンズ」も印象的な楽曲とされ、後者のメロディはドイツの他のバンドにも影響を与えています。

アルバムの影響と評価

本作はハロウィンの音楽スタイルやキャリアに大きな影響を与えた歴史的な作品であり、彼らの後のアルバム制作にも大きな貢献をしました。また、バンドのリーダーであるカイ・ハンセンとヴァイカートの独自の音楽的相乗効果が、アルバムを魅力的にしている要因となっています。

『ウォールズ・オブ・ジェリコ』は、ハロウィンのファンのみならず、メタル音楽の愛好家にとっても必聴の作品であり、彼らの音楽の魅力を示す重要な一枚です。

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