ヨシュア記

ヨシュア記の概要

『ヨシュア記』は旧約[[聖書]]の書物として、イスラエル人が約束の地カナンを征服する過程を記した歴史書です。この書物は、主にヨシュアの指導のもとで進行するイスラエル人の軍事的な行動と、神との契約に基づく出来事を編纂したものです。

著者と成立時期

伝統的に、ヨシュア記はヨシュア自身によって筆を執られたとされています。特に24章26節においてその記録が明記されていますが、彼の死後には、アロンの子エルアザル及びエルアザルの子ピネハスがその後の記録を引き継いだと考えられています。現代の聖書学者は、ヨシュア記がモーセ五書と連携した形であると指摘し、その成立に複数の資料が影響していると考えています。

考古学的な発掘によって、エリコの城壁の崩壊が紀元前3000年代の出来事であることが明らかにされ、ヨシュアがエリコに到達した時にはすでに廃墟であったという見解もあります。エリコの陥落に関する記述は、歴史的事実というよりも物語的な背景が強いとされています。

物語の背景と概要

エジプトから脱出したイスラエルの民のうち、20歳以上の者はヨルダン川を渡ることを許されたのは、ヨシュアとカレブの二人のみでした。この出来事は、モーセの指導のもとでの苦難の末、約束の地に近づく重要なターニングポイントとなります。

モーセ亡き後、神はヨシュアに命じて民を導き、約束の地を目指すよう指示します。彼は民を結集し、エリコに派遣した斥候たちが見つけた情報を基に、神の指示に従ってエリコを攻略します。エリコの城壁が崩れるという奇跡的な出来事が起こることで、イスラエル人は初めてカナンの地に足を踏み入れました。

占領の過程では、数多くの戦いが繰り広げられ、神の指示に従うことで数々の敵を打ち破っていきます。特に、ヒビ人との協定やアモリ人に対する戦いは、神の力の現れとされ、これらの出来事を通じて人々の信仰が試されます。ヨシュアは谷や山を越え、防衛戦を繰り広げ、必勝の戦略をもって敵を一掃しました。

土地の配分

征服後、ヨシュアはそれぞれの部族に土地を分配するよう命じられます。このプロセスでは、エフライム族やユダ族、マナセ族にそれぞれの割り当てが行われる。特に、カレブがヘブロンを求めた逸話は印象的で、彼の勇気と忠誠を感じさせます。

レビ族は相続地を持たず、他の部族の土地から六つの逃れの町が設けられます。これにより、重要な宗教的および社会的な支援が確保され、イスラエルの人々の絆が深まりました。

シケム契約

書物の最後では、ヨシュアがシケムに民を集め、神の言葉を伝えます。彼は神への奉仕を誓うよう呼びかけ、民はこれに応じます。最終的に、ヨシュアはその使命を終え、息を引き取ります。また、彼の指導の下で大切にされてきた宗教的伝統が脈々と受け継がれることが記されており、聖書における重要なメッセージが込められています。

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