ウキヤガラ属

ウキヤガラ属（学名：Bolboschoenus）は、カヤツリグサ科に分類される多年生草本です。かつては広義のホタルイ属に含められていましたが、現在では独立した属として扱われています。主に淡水域や汽水域の湿地に生育し、地下茎を長く伸ばして繁殖する特徴を持ちます。

特徴

ウキヤガラ属の植物は、地下茎が地中を横に這うように伸び、そこからまばらに茎を立ち上げます。茎の基部は球形に肥大することがあります。茎は断面が三角形で、節が数個あります。葉は茎の節から線状に生え、葉舌はありません。花序は茎の先端（頂生）または側面（偽側性）に形成され、散房状や頭状に集まって小穂をつけます。花序の下には総苞片があり、葉状に大きく広がるものや、茎の延長のように直立するものなど、種によって異なります。

小穂には柄があるものとないものがあります。小穂を構成する鱗片は、背軸面に細かい毛があり、先端が2つに裂け、そこから芒が突き出します。鱗片は螺旋状に配列し、その内側にある花は両性花です。雄しべは3本、雌しべの花柱は2〜3つに分かれ、基部は子房と滑らかに繋がっています。花被片は針状で下向きの棘があり、2〜6個存在しますが、早期に脱落する場合と長く残る場合があります。果実はレンズ状または三角形で、比較的大きく（長さ3mm以上）、光沢があり、先端が嘴状に尖っています。果皮は厚いのが特徴です。

種と分布

ウキヤガラ属は、世界に16種が知られており、淡水や汽水域の湿地、浅い水中に生育します。これらの種は、主に温帯から熱帯地域に分布しています。

他群との関係

ウキヤガラ属に最もよく似た植物は、オオサンカクイ属（Actinoscirpus）です。両属は全体の形や花序、小穂の構造が非常に似ていますが、いくつかの点で区別できます。オオサンカクイ属は、茎に節がなく茎葉がないこと、小穂の鱗片に芒がないこと、果実が小さいなどの特徴を持っています。

日本に分布する種

日本には、以下のウキヤガラ属の種が分布しています。

ウキヤガラ (Bolboschoenus fluviatilis)：日本各地の湿地に分布する代表的な種です。
コウキヤガラ (Bolboschoenus koshevnikovii)：北海道から九州にかけて分布する種です。
イセウキヤガラ (Bolboschoenus planiculmis)：本州中部以西に分布する種で、比較的珍しい種です。

これらの種は、湿地環境の生態系を構成する重要な要素であり、その保全が求められています。

参考資料

大橋広好 他編、『改定新版 日本の野生植物 1 ソテツ科～カヤツリグサ科』、(2015)、平凡社

この資料は、ウキヤガラ属の詳しい分類や形態、分布などを理解する上で非常に役立ちます。

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