ウスイロイルカ

ウスイロイルカ (Sousa plumbea)

ウスイロイルカは、クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科に属するイルカです。学名Sousa plumbeaで知られ、以前はシナウスイロイルカの亜種とされることもありましたが、現在では独立した種として扱われることが一般的です。

形態

ウスイロイルカは、シナウスイロイルカと外見が似ていますが、いくつかの点で区別できます。体色は生息域によって異なりますが、ピンク色から明るい灰色であることが多く、背中にはコブのような隆起があり、その上に背びれがあります。口吻は細長く、成体の体長は2mから2.8m、体重は150kgから200kgに達します。生まれたばかりの個体は約1mです。

生息域

ウスイロイルカは、北インド洋および西インド洋の沿岸、浅い海域に生息しています。具体的には、インド、ペルシャ湾、紅海、アフリカ大陸東岸、マダガスカル島周辺で見られます。スマトラ島を境に、東側にはシナウスイロイルカ、西側にはウスイロイルカが生息すると分類されていましたが、両種の間での交雑の可能性も指摘されています。

生息数と保護状況

ウスイロイルカの正確な生息数は不明です。南アフリカのプレテンバーグ湾付近では約25頭、ナタール海岸では約200頭と推定されています。また、南アフリカのイースタンケープ海岸沖のアルゴア湾では少なくとも466頭が生息しているとの調査結果もあります。モザンビークのバザルト諸島周辺では約60頭、インダス川河口では約500頭と推定されていますが、これらの数値は調査時期や方法によって異なり、正確なものではありません。サメ除け網による混獲や、生息地の破壊が個体数減少の要因として挙げられています。

IUCN（国際自然保護連合）のレッドリストでは、ウスイロイルカは「情報不足」（Data Deficient: DD）に分類されており、生息状況や保全に関する情報が不足しているため、早急な調査と対策が求められます。

参考文献

Dale W. Rice, "Marine Mammals of the World. Systematics and Distribution" (PDF) (1998). Society of Marine Mammalogy as Special Publication No. 4.
G. S. Saayman et al., The socioecology of humpback dolphins (Sousa sp.) in The Behaviour of Marine Animals, Volume 3: Cetaceans (ed. H. E. Winn et al.), pp. 165-226, Plenum Press, New York (1979).
G. J. B. Ross et al., Humpback dolphins -Souza chinensis (Osbeck, 1765), Sousa plumbea (G. Cuvier, 1829) and Souza teuszii (Kükenthal, 1892) in Handbook of Marine Mammals (ed. S. H. Ridgway et al.) Vol. 5: The first book of dolphins, pp. 23-42, Academic Pres, London (1994).
L. Karczmarski et al., Population analyses of Indo-Pacific humpback dolphins Sousa chinensis in Algoa Bay, Eastern Cape, South Africa, Marine Mammal Science 15 (4), pp. 1115-1123, (1999).

外部リンク

海棲哺乳類図鑑 国立科学博物館 動物研究部
CMS

もう一度検索