ウズベキスタンの地理

ウズベキスタン：中央アジアの豊かな大地と環境問題

ウズベキスタンは、中央アジアの内陸部に位置する国です。スペインやカリフォルニア州とほぼ同じ広大な国土（約44万7400平方キロメートル）を誇り、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、アフガニスタンと国境を接しています。世界で2カ国しかない二重内陸国でもあります。

多様な地形

ウズベキスタンの地形は多様性に富んでいます。国土の約80％は砂漠地帯ですが、東部には標高4500メートルを超える山々がそびえ立ちます。南東部は天山山脈から続く高原地帯で、中国や他の中央アジア諸国との自然国境を形成しています。北西部には広大なキジルクム砂漠が広がり、カザフスタンと国境を接しています。

一方、キジルクム砂漠の東部には、フェルガナ盆地という肥沃な農業地帯が広がっています。約2万1440平方キロメートルの盆地は、周囲を山々に囲まれた、ウズベキスタンで最も重要な農業地域です。シルダリヤ川がフェルガナ盆地西部を流れ、灌漑農業を支えています。しかし、年間降水量は100～300mmと少なく、砂漠性の気候が盆地の一部や山地の尾根沿いに見られます。

ウズベキスタンは水資源に乏しく、国土の大部分が慢性的な水不足に悩まされています。主要な水源はアムダリヤ川とシルダリヤ川であり、その水は主に灌漑農業に使われています。湖沼も少なく、トルクメニスタンとの国境付近にあるサリカミシュ湖は、その少ない数の湖の一つです。

さらに、ウズベキスタンは地震多発地帯でもあります。首都タシュケントは1966年に大地震に見舞われ、甚大な被害を受けました。山間部では特に地震のリスクが高いです。

大陸性気候と環境問題

ウズベキスタンの気候は大陸性で、夏は暑く、冬は寒く、年間を通して降水量は少ないです。夏の気温は40℃を超えることもありますが、冬の最低気温は-40℃を記録したこともあります。年間降水量は100～200mmと非常に少なく、そのほとんどが冬と春に降ります。7～9月はほとんど雨が降らず、灌漑なしでは農業が成り立ちません。

ウズベキスタンは、かつて豊富な天然資源と恵まれた自然環境を持つ土地でしたが、ソ連時代の無計画な自然改造計画が、深刻な環境問題を引き起こしました。綿花栽培を中心とした大規模な灌漑農業は、水質汚染、土壌塩類化、砂漠化などを招き、アラル海の縮小はその象徴的な例です。

アラル海は、1960年代には世界第4位の面積を誇る内陸湖でしたが、アムダリヤ川とシルダリヤ川からの水流が灌漑用水として大量に取水された結果、30年で水量が3分の1に減少し、面積も半分以下に縮小しました。湖底の塩分や塵が砂嵐となって飛散し、農業、生態系、人々の健康に深刻な影響を与えています。さらに、農薬や化学肥料の過剰使用、工業排水などによる水質汚染も深刻な問題となっています。

進行中の環境問題と国際協定

アラル海の縮小は、農薬や塩分濃度を高め、砂漠化を加速させています。農薬や化学肥料に含まれる有害物質は土壌を汚染し、地下水も重金属や化学物質で汚染されていると報告されています。ウズベキスタン政府は、生物多様性条約など多くの国際環境協定に署名していますが、批准はしておらず、その履行も不十分です。

綿花栽培における大量の化学肥料の使用、非効率的な灌漑システム、脆弱な排水システムなどが、土壌の塩類化と化学物質・重金属汚染を進行させています。ソ連崩壊後、化学肥料や殺虫剤の使用量は増加し、河川の水質汚染はさらに悪化しました。工場排水も水質汚染の一因となっており、アムダリヤ川では、フェノール類や石油精製廃棄物による健康被害が懸念されています。下水道設備の整備も遅れており、多くの人々が汚染された水を飲まざるを得ない状況にあります。

大気汚染も深刻な問題です。砂嵐、農薬散布、工場や自動車の排気ガスなどが大気汚染の原因となっており、タシュケント、フェルガナ、アルマリクなどの都市では、二酸化窒素などの大気汚染物質が基準値を超えています。重金属汚染も深刻で、特にタシュケント州やアルマリク周辺地域で顕著です。

政府の環境政策と課題

ウズベキスタン政府は環境問題の深刻さを認識しており、様々な対策に乗り出していますが、その取り組みには一貫性と効果性に欠けています。環境問題に対する政府の姿勢は一貫しておらず、環境保護のための法整備も不十分です。汚職や大統領への権力集中も、環境問題への対応を阻んでいます。国際援助機関からの支援も受け入れていますが、根本的な解決には至っていません。政治的、経済的要因が優先され、天然資源や水資源の乱用が続いている限り、環境問題の改善は難しいでしょう。

面積、国境、資源

ウズベキスタンの総面積は約44万7400平方キロメートル、国境線は約6221キロメートルです。国土には天然ガス、石油、石炭などの豊富な天然資源が埋蔵されています。しかし、それらの資源開発も環境問題との兼ね合いが課題となっています。

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