ウズベキスタンの政治

ウズベキスタンの政治：独立後の改革と権力構造

ウズベキスタンは、大統領が国家元首であり、同時に政府の代表を務める大統領制国家です。政府が行政、政府と二院制議会（下院と上院）が立法府として機能しています。しかし、1991年の独立以来、政治改革は経済改革と調和しておらず、政府は反対勢力への弾圧を強化し続けています。表面上は体制が変化したものの、ソ連時代の強力な中央集権体制の残滓は色濃く残っており、議会や野党、メディアへの抑圧が続いているのが現状です。政府はこのような状況を、隣国タジキスタンの混乱を例に挙げ、安定と段階的な改革の必要性を強調して正当化していますが、この現状がいつまで続くかは不透明です。

独立後の改革：民主化への抵抗

独立直後、ウズベキスタンでは民主化への動きが表面化しましたが、ソ連時代の強力な中央集権体制の名残が強く、民主主義改革は容易には定着しませんでした。ソ連時代、ウズベキスタンは、ソ連共産党が政府を完全に掌握し、官僚機構を支配するノメンクラトゥーラ（共産党員の特権階級）によって運営されていました。

1991年8月のゴルバチョフ大統領に対するクーデター未遂を受け、ウズベキスタン最高会議は独立を宣言。ウズベキスタン共産党はソ連共産党との関係を断ち切り、ウズベキスタン人民民主党と改名しましたが、イスラム・カリモフ大統領による党の支配は続きました。独立後、様々な制度改革が行われましたが、ウズベキスタンの統治構造の本質的な変化はわずかでした。

1991年12月、カリモフ大統領はソ連解体と独立国家共同体（CIS）の設立に合意し、その後、物議を醸す選挙で初代大統領に選出されました。野党候補は抑圧され、選挙結果はカリモフ大統領の圧倒的な勝利となりました。1992年、ウズベキスタン人民民主党は政府の行政・立法部門を引き継ぎ、真の野党は抑圧されました。イスラム原理主義の台頭を警戒したカリモフ政権は、隣国タジキスタンの内戦にも介入し、人権侵害を繰り返しました。1995年、カリモフ大統領は任期延長を国民投票で承認させ、野党へのわずかな寛容策を示しましたが、国際的なビジネスニーズへの対応に過ぎませんでした。

1992年憲法と権力集中

1992年憲法は、大統領制、議会、司法の三権分立を謳っていますが、実際は大統領権力が圧倒的に強いものでした。大統領は5年任期で、一度だけ再選可能であり、軍の最高司令官、首相・閣僚任命権、裁判官任命権、議会解散権など、広範な権限を掌握しています。議会は一院制で、大統領の法案を否決した場合、大統領は議会を解散できます。司法も大統領の支配下にあり、独立性は低い状態です。

野党とメディアへの統制

2002年の国民投票で二院制議会が導入されましたが、政府の承認を受けた政党しか存在せず、政府への批判は許されません。メディアも政府の管理下にあり、独立した報道は行われません。野党は結成を許されず、活動は厳しく制限されています。集会やデモも禁止されており、野党関係者は逮捕・拷問を受けるなど、政治的権利は著しく侵害されています。

イスラム原理主義への弾圧

政府はイスラム原理主義者を厳しく弾圧しており、多くの逮捕・投獄が行われています。拷問や虐待も横行しており、国際的な批判を浴びています。2005年のアンディジャン事件では、デモ参加者が警察によって殺害されるという悲劇も発生しました。政府は検閲を緩和する動きも見せましたが、メディアへの統制は依然として強い状態です。

行政府、立法府、行政区画

行政府は、大統領が任命する首相と副大臣が実権を握っており、司法と立法府は独立性が低い状態です。立法府は、下院と上院から成る二院制議会です。行政区画は、12州、1自治共和国、1特別市から構成されています。

国際機関との関係

ウズベキスタンは、ADB、CIS、EBRDなど、多くの国際機関に加盟しています。しかし、人権問題や政治状況をめぐる国際社会からの批判は依然として強いものです。

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