ウズベキスタンの農業

ウズベキスタンの農業：綿花から穀物へ、そして多様な経営形態

ウズベキスタンは、乾燥した大陸性気候が大部分を占める国です。そのため、農業は主に河川沿いの肥沃な土地やオアシス周辺に集中しています。国土の約10％にあたる広大な耕作地では、綿花をはじめとする様々な農作物が栽培され、家畜の放牧も行われています。一方、国土の約半分は砂漠気候で、主に羊などの牧畜が行われています。

綿花から穀物生産への転換

2006年当時、ウズベキスタンの労働人口の約3割が農業に従事し、GDPの約4分の1を農業関連産業が担っていました。綿花はウズベキスタン経済の重要な輸出品目であり、輸出額の約17％を占めていました。年間100万トン以上の綿花を生産し、その多くを海外に輸出していました。世界でも有数の綿花生産国・輸出国として知られていました。しかし、食糧自給率の低さと綿花一辺倒の農業経済のリスクから、穀物生産への転換が進められています。

綿花栽培の面積は減少する一方で、小麦、大麦、トウモロコシ、米などの穀物生産は増加しています。その他、ゴマ、タマネギ、亜麻、タバコなども生産されています。果物や野菜は国内消費が中心ですが、ドライフルーツは輸出されています。特にメロンはウズベキスタンの特産品として、CIS諸国を中心に輸出されています。

畜産業の現状と課題

伝統的に、ウズベキスタンではカラクール羊の毛皮が重要な輸出商品でしたが、近年は生産量が減少しています。現在では、ウシやヒツジ、家禽などは、毛皮以外に食肉生産が中心となっています。ウズベキスタンには300万頭の牛が飼育されており、年間500万リットルの牛乳を生産していますが、一頭あたりの生産量はCIS諸国の中でも最低レベルです。飼料の質や量の不足、人工授精技術の普及不足などがその原因として挙げられています。

織物産業と伝統技術

4世紀からウズベキスタンで栽培されている桑と蚕は、綿花と同様、伝統的な織物産業を支えています。綿花を使った鮮やかな織物は、ウズベキスタンの伝統文化を象徴する製品です。現在も盛んに生産され、国内外に輸出されています。

多様な農業経営形態

ソビエト連邦時代には、国営の大規模農場と個人経営の小規模農場が共存していました。独立後、市場経済に移行すると、個人経営農場（デフカン）、大規模農場を転換した農業協同組合（シルカット）、そして中規模農場（フェルメル）という3つの経営形態が確立されました。2006年時点では、作付面積の75％をフェルメルが占めていましたが、畜産業では依然として個人経営（デフカン）が中心であり、牛乳生産量の低迷にもつながっています。

環境問題

綿花生産拡大のための灌漑は、アラル海の縮小や土壌塩害など深刻な環境問題を引き起こしています。持続可能な農業への転換が、ウズベキスタン農業の喫緊の課題となっています。

まとめ

ウズベキスタン農業は、綿花から穀物生産への転換、多様な経営形態の共存、そして環境問題への対応という複雑な局面を迎えています。持続可能な農業の発展が、ウズベキスタン経済と社会の安定に不可欠となっています。

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