ウバガイ

ウバガイ（姥貝）

ウバガイ（学名: Pseudocardium sachalinense）は、二枚貝の一種で、食用として広く親しまれています。一般的には「ホッキガイ」の名称で知られ、特に北寄貝やホッキといった別名でも呼ばれています。この貝は、北海道から沿海地方、さらには朝鮮半島北部に至る海域に生息し、特に鹿島灘以北での漁獲が盛んです。地域によってアイヌ語でも様々な呼び名があり、ポクセイやツウツウレップなどがあります。

形態について

ウバガイは、卵形に近い特徴を持った貝殻が特徴的です。稚貝の頃は白色、幼貝は黄色、成長すると黄褐色ないし黒褐色に変化します。幼貝は、同じ科に属するシオフキに似た外見を持っていますが、ウバガイは内湾性の環境に生息することによりその違いが明確になります。また、同じくバカガイ科であるヒメバカガイと比較すると、幼貝の段階では見分けるのが難しいこともありますが、成貝になると明確に異なります。ウバガイの殻頂部を高倍率で観察すると、無色の稚貝と、褐色や帯紅色の点が見られるヒメバカガイとの違いを実感できます。

生態と漁法

ウバガイは潮間帯から水深20メートルの細砂底に生息し、主に5月下旬から8月中旬の間に産卵を行います。ふ化した幼生は約20〜30日間プランクトンとして浮遊し、その後、成貝よりもやや深い場所に着底します。漁獲対象サイズの7〜8センチメートルに成長するまでには、通常4〜6年を要します。ウバガイの寿命は30年以上にも達することが知られています。

漁法としては、底曳網を使用した桁曳漁が一般的です。この方法では、海底に水を噴射して貝を掘り起こし、網で捕獲します。2008年度の漁獲量では、苫小牧漁港が825トンとトップであり、地域における重要な水産資源となっています。

保護と増殖

一部の地域では稚貝の放流や漁獲制限を設けており、青森県では7センチメートル以下のウバガイの漁獲は禁止されています。また、苫小牧ではウバガイの生育に競合するウニの仲間の駆除が試みられるなど、様々な保護活動が行われています。

流通と料理利用

ウバガイは主に活貝の状態で流通していますが、殻付きのホッキガイを調理するには技術が必要です。そのため、殻付きのままボイルしてから殻をむく方法が特に推奨されています。また、日本国内で流通する冷凍品の多くは、近縁種のナガウバガイにあたることがあります。

特に、宮城県の亘理郡山元町では毎年2月に「ホッキ祭り」が行われ、地域の名物を楽しむ機会となっています。ウバガイは刺身や寿司の具材として人気で、フライやバター焼き、酢の物など多岐にわたる料理に活用されています。地元の料理では、ほっき飯や母恋めしなど、貝を用いた多様なメニューが楽しまれています。

栄養価

栄養面では、ウバガイはグリシンやアラニンなどの旨味成分が豊富で、健康にも良いとされています。このような栄養価の高さからも、ウバガイは多様な食材としての人気を集め続けています。

もう一度検索