ウミウサギ

ウミウサギ（Ovula ovum）

ウミウサギは、吸腔目ウミウサギガイ科に属する巻貝の一種で、その学名は Ovula ovum と言います。純白で光沢のある殻が特徴で、その姿が白いウサギを連想させることからこの和名が付けられました。系統的にはタカラガイに近い仲間とされています。

形態

ウミウサギの殻高は30mmから120mm程度で、表面は非常に滑らかで強い光沢を放つ純白色をしています。この美しい白色が、和名の由来となっています。殻の口縁部は厚く、内側には細かな襞があります。水管溝は両端ともに突出しており、殻の内側は紫褐色またはチョコレート色をしています。一方で、殻の色とは対照的に、外套膜は漆黒で、まるで星を散りばめたかのように白い斑点があります。幼貝は成貝と異なり、外套膜上に突起が見られます。

ウミウサギガイ科の中では、比較的普通に見られる種であり、基本的な種としても位置づけられています。

分布と生態

ウミウサギは、インド太平洋地域（太平洋、インド洋、紅海）に広く分布しています。日本では、紀伊半島以南のサンゴ礁で見ることができ、水深数メートルから20m程度のサンゴ礁に生息しています。特に、ウミトサカ類（カタトサカやウミキノコなど）の上で生活しており、これらの生物の食害痕跡をたどると、ウミウサギを見つけられることがあります。

人との関わり

ウミウサギは、近縁のタカラガイと同様に、コレクションの対象となることがあります。また、歴史的には太平洋諸島に住む人々によって装飾品として利用されてきました。さらに、単なるアクセサリーとしてだけでなく、魔除けを目的とした呪具としても使用されてきました。その文化的な重要性から、パプアニューギニアやニューカレドニアでは、切手のデザインにも採用されています。

日本では、江戸時代後期の学者である武蔵石壽が著した『目八譜』の中で、ウミウサギ科の貝について詳細に解説しています。

ギャラリー

（画像は省略）

脚注

（注釈は省略）

出典

• - 飯野, 剛 著、高田 良二 監修 編『ウミウサギ―生きている海のジュエリー』誠文堂新光社、2010年

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