ウラジミール・シシュキン

ロシア出身のプロボクサー、ウラジミール・イゴレビッチ・シシュキン（Vladimir Igorevich Shishkin）は、1991年 7月26日にサラトフ州で生まれました。スーパーミドル級を主戦場とし、これまでにWBAアジア王座を獲得、さらに主要団体であるIBFの世界王座挑戦者となるなど、国際的な舞台でその実力を示してきました。

プロキャリアの開始とアジア王座の獲得

シシュキンのプロキャリアは、母国ロシアを中心に展開されました。特に2018年は、彼にとって大きな飛躍の年となりました。5月30日には、サンクトペテルブルクで行われた試合でセルゲイ・コミットスキーと対戦。この試合はWBAアジアスーパーミドル級暫定王座決定戦として行われ、シシュキンは7回59秒でのTKO勝利を収め、自身初のプロタイトルとなる暫定王座を獲得しました。

勢いに乗るシシュキンは、同年7月21日にモスクワのオリンピック・スタジアムでガサン・ガサノフと対戦します。この一戦は暫定王座の初防衛戦であると同時に、WBAアジアスーパーミドル級の正規王座決定戦でもありました。シシュキンは5回24秒でのKO勝利を飾り、暫定王座の防衛に成功。この勝利により、彼はWBAアジアスーパーミドル級の正規王者として認められることとなりました。

さらに同年10月13日、エカテリンブルグで開催された興行で、ナジム・モハメディーを挑戦者に迎えてWBAアジア王座の2度目の防衛戦を実施。この試合でもシシュキンは10回1分49秒でのTKO勝利を飾り、王座の安定した保持を証明しました。

国際舞台への進出と世界挑戦権の獲得

ロシア国内での成功を基盤に、シシュキンは世界のトップレベルを目指します。2019年5月14日には、米国を拠点とする著名なプロモーター、ドミトリー・サリタ率いるサリタ・プロモーションズと契約。これにより、彼のキャリアは国際的な舞台へとシフトしていきました。

特に彼のキャリアにおける重要なターニングポイントとなったのが、2022年12月17日に米国ネバダ州ラスベガスのザ・コスモポリタンで行われた試合です。元IBF世界スーパーミドル級王者のホセ・ウスカテギを相手に、IBF世界スーパーミドル級の挑戦者決定戦に臨みました。この試合は、両者にとってIBF世界王者サウル・アルバレスへの挑戦権を懸けた重要な一戦でした。シシュキンは12ラウンドを戦い抜き、3-0（117-111、117-111、115-113）の判定で勝利。見事、IBF世界スーパーミドル級王座への挑戦権を獲得しました。

世界王座決定戦での初黒星

IBF世界挑戦権を手にしたシシュキンでしたが、当時のIBF世界スーパーミドル級王者であったサウル・アルバレスの試合交渉の状況により、事態は急変します。2024年 7月26日、IBFはアルバレスがIBF世界スーパーミドル級1位のウィリアム・スクールとの指名試合に応じなかったと判断し、アルバレスからIBF世界スーパーミドル級王座を剥奪しました。この王座空位に伴い、IBFは当時の1位であったスクールと、2位のシシュキンに対して、空位となった王座を争う決定戦を行うよう指令しました。

シシュキンにとってキャリア最大のチャンスとなるIBF世界スーパーミドル級王座決定戦は、2024年10月19日、ドイツ・ベルリン郊外のファルケンセで行われました。相手は同じく指名挑戦者の地位にあったウィリアム・スクールです。白熱した12ラウンドの戦いの末、試合は判定に委ねられました。結果は3-0（116-113、116-112、115-113）でスクールが勝利。ウラジミール・シシュキンは、世界王座獲得に失敗すると同時に、プロキャリアで初めての敗北を喫しました。

獲得タイトル

- WBAアジアスーパーミドル級暫定王座
- WBAアジアスーパーミドル級王座

WBAアジア王座を制し、世界のトップ戦線にも名を連ねたウラジミール・シシュキンは、プロ初黒星を経験したものの、今後のキャリアで再び世界王座を目指す可能性を秘めています。

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