ウラディーミル・ユロフスキ

ウラディーミル・ユロフスキ：音楽一家に生まれた世界的指揮者

ウラディーミル・ミハイロヴィチ・ユロフスキ（Vladimir Jurowski, 1972年4月4日 - ）は、ロシア出身のドイツ人指揮者として、国際的に高い評価を受けています。彼は、音楽一家に生まれ、その才能を早くから開花させました。

生い立ちと教育

1972年、モスクワでユダヤ系の音楽一家に誕生。父は著名な指揮者ミハイル・ユロフスキです。音楽に囲まれた環境で育ち、1987年から1990年までモスクワ音楽学校で音楽理論を学びました。1990年、18歳の時に家族と共にドイツへ移住。ドレスデン音楽大学で研鑽を積み、その後、ハンス・アイスラー音楽大学ベルリンでロルフ・ロイターに師事しました。ドイツ各地の歌劇場で経験を重ね、着実に指揮者としての基礎を築きました。

国際的な活躍

1995年、アイルランドのウェックスフォード・オペラ・フェスティバルで、リムスキー＝コルサコフのオペラ『五月の夜』を指揮し、国際的なデビューを飾りました。1996年から2000年まで、ベルリン・コーミッシェ・オーパーで指揮者を務め、その才能を高く評価されました。2001年には、名門グラインドボーン音楽祭の音楽監督に就任し、数々の革新的な上演を実現しました(2001年～2013年、2017年にも音楽監督を務めています)。

2007年から2021年まで、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務め、オーケストラとの緊密な関係を築き上げました（2021年からは名誉指揮者）。また、ロシア・ナショナル管弦楽団の首席客演指揮者や、エイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団の指揮者も務めるなど、幅広い活動を展開しています。

2011年10月には、解任されたゴレンシテインの後任として、ロシア国立交響楽団の芸術監督に就任し、2021年までその任を務めました。2017年からは、ベルリン放送交響楽団の首席指揮者も兼任しています。

2021年からは、バイエルン国立歌劇場の音楽総監督に就任し、オペラ界においても重要なポストを担っています。しかし、2022年2月24日以降は、ロシアでの活動を停止しています。

受賞と栄誉

ユロフスキは、その卓越した才能に対し、数々の賞を受賞しています。2000年には、イタリアの批評家協会が選ぶフランコ・アッビアーティ賞を受賞。2004年には、BBCミュージックマガジンによって、世界で最も才能のある若手指揮者の一人に選ばれました。同年2月には、大英帝国勲章を受章しています。

音楽一家

ユロフスキ家は、音楽界に多くの人材を輩出しています。父ミハイル・ユロフスキ自身も著名な指揮者であり、弟のドミトリー・ユロフスキも指揮者として活躍しています。姉のマリア・ドリビンスキー（旧姓ユロフスカヤ）はピアニスト。祖父のウラディーミル・ユロフスキも作曲家でした。また、従弟のデニス・マツーエフは、世界的に有名なピアニストです。

ウラディーミル・ユロフスキは、その才能と情熱によって、現代のクラシック音楽界を牽引する重要な存在の一人と言えるでしょう。

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