ウルトラマンゼアス

『ウルトラマンゼアス』は1996年から1997年にかけて公開された特撮映画であり、ウルトラシリーズの新たなキャラクターとして登場しました。この作品はウルトラマン生誕30周年を記念にして製作され、完全に新しいスタイルの劇場映画オリジナルウルトラマンとして知られています。また、ウルトラマンとして企業タイアップも試みられました。

概要

ウルトラマンゼアスの企画は、出光興産の「ゼアスガソリン」を多方面にアピールするために、電通の協力のもとに進められました。ウルトラシリーズの正統派的な方向性を持つ『ウルトラマンネオス』との差別化と、新たなウルトラマン像の模索が進められていました。このため、全体をパロディとコミカルな路線にし、「三枚目ヒーロー」という親しみやすいキャラクター像が追求されることとなります。ゼアスは、赤と銀のトレードカラーの配置を意図的に入れ替えたデザインが特徴で、親しみやすさを強調しています。

1996年、劇場映画としては『ウルトラマン80』以来16年ぶりとなる新作が公開されました。監督には中島信也が起用され、脚本には『ウルトラマンA』以来となる長坂秀佳がクレジットされています。プロデューサーには鈴木清が名を連ね、彼は以後のウルトラシリーズ映画制作にも参加することとなりました。

主演には、出光興産のイメージキャラクターを務めていたお笑いコンビ「とんねるず」が起用され、過去のウルトラシリーズに出演していた俳優も多数カメオ出演しました。

作品の進展

続編として1997年に公開された『ウルトラマンゼアス2　超人大戦・光と影』は、夜の上映回をターゲットにし、格闘技の要素を取り入れたよりハードなストーリーが展開されました。また、K-1の協力により、本格的な格闘シーンが用意されました。

この第2作では、シナリオの中に「ウルトラ版『ベスト・キッド』」というコンセプトがあり、ゼアスが悪の力を克服し成長する様が描かれています。様々なチャレンジを経て、一人前のヒーローとして成長する物語が展開され、視聴者の関心を引くことになりました。

キャラクターと設定

登場人物

- 朝日勝人 / ウルトラマンゼアス: Mydoの見習い隊員であり、実はウルトラマンゼアスに変身した姿。心優しいが気弱な青年で、潔癖症を克服して成長していく。
- 大河内神平: Mydo隊長で、宇宙物理学の権威。カリスマ性と分析力を兼ね備えたキャラクター。
- 小中井仏吉: Mydo副隊長。温和で細やかな性格であり、厳しい任務もこなす。
- 星見透: 通信・連絡を担当し、強い希望を持つ女性。

この作品では、キャラクターの過去や成長の様子に焦点を当て、視聴者が共感できるよう設計されています。特にウルトラマンゼアスは、地球を汚染から守る使命を持っていますが、最初は力不足から葛藤を抱え、自信を持てない姿で登場します。彼の成長過程は、観客に感動を与える要素となっています。

技術とデザイン

ウルトラマンゼアスのデザインは杉浦千里と吉田穣が担当し、横顔は「Z」を連想させる形状が特徴的です。初期案は初代ウルトラマンを意識して制作されました。

また、ゼアスが変身する際に用いる道具「ピカリブラッシャー」は、電動歯ブラシ型の変身アイテムであり、内部に光のエネルギーを蓄えています。デザイン面でも新たな挑戦を行い、次世代のウルトラマン像が描かれました。

怪獣との戦闘

作品内には、悪神と呼ばれる敵や巨大怪獣が登場し、ウルトラマンゼアスとの激しい戦闘が繰り広げられます。ベンゼン星人やコッテンポッペとの戦いを通じ、ゼアスは自らの力量を信じ、困難に立ち向かっていく様子が描かれます。

総括

『ウルトラマンゼアス』は、新たなウルトラマンの誕生を描いた作品であり、当時の時代背景やキャラクターの成長を反映しています。同時に、特撮技術やCGの融合も試みられ、視覚的にも新しい楽しさを提供しています。特撮ファンのみならず、広く一般の観客にも受け入れられた作品となりました。

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